老化卵子の染色体異常解明、理研 マウス実験、流産メカニズム理解
![分裂開始から5時間後の染色体の模式図。老化した卵母細胞(右)では分離が起きているが、若い卵母細胞(左)では起きていない(理研提供)](/sites/default/files/images/newspack/2024-07PN2024071901000108.-.-.CI0003.jpg)
老化した卵子は、形成される際に特定の部位に小さな染色体が集まり、強い力で引っ張られ早期に分離することで異常が生じる仕組みをマウスで解明したと、理化学研究所のチームが18日付の米科学誌サイエンスに発表した。人でも加齢とともに卵子の染色体異常が起きることが知られており、ダウン症や流産のメカニズムの理解につながるとしている。
卵子は、卵巣内の卵母細胞が分裂して形成される。その際、内部に「紡錘体」という構造物が現れ、染色体を引っ張り、卵子に分配する。チームは、特定の染色体を識別して追跡する新手法を使い、マウスの卵母細胞を顕微鏡で観察。年齢にかかわらず、小さな染色体が紡錘体の内側に集まっていることを確認した。
内側では、染色体を引っ張る力が外側より強い。老化した細胞の染色体は若い細胞より早期に分離してしまうため、分配に異常が起きやすくなっていた。染色体を人為的に外側に押し出すと早期の分離も減った。
理研の北島智也チームリーダーは「人の染色体異常を抑制する技術開発につながるかもしれない」と話した。
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