「不知火美術館・図書館」来館者100万人突破 宇城市 新装わずか2年3カ月 若年層増、美術館利用は低迷
宇城市の不知火美術館・図書館の来館者が6月、2022年4月の新装オープン以来100万人を突破。館内で長くくつろげる仕掛けを打ち出し、わずか2年3カ月での大台達成となった。若年層の利用者が増えたのが要因。一方で、集客で伸び悩む美術館の運営が課題となっている。
不知火美術館・図書館は、旧不知火町が1999年7月に開館。熊本地震で被災して改修が必要となったのを機に、市は若い世代の利用を掘り起こそうと22年に指定管理者制度を導入。「蔦屋書店」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、東京)の運営となった。
夕方までだった開館時間を午後9時までに延長。カフェを併設し、図書館の座席を170席と約6倍に増やしたほか、貸し出し対象を市内在住・勤務者から国内在住者に広げた。
1万2千冊の絵本がある「こども絵本のいえ」を新設。授乳室を備え、施設内でも離乳食を食べさせられる「もぐもぐタイム」も設けた。おはなし会やお絵描き教室などのイベントは年間約500件開催。正面の芝生広場ではマルシェやヨガ教室を開き、若年層の利用を促す仕掛けをちりばめた。
その結果、以前は年間約4万人だった来館者が22年度は48万人、23年度43万人と爆発的に増えた。
図書の貸し出しは、22年度約6万6千人のうち、市外在住者が約6割。年代別に見ると、40代と10代以下がいずれも19・4%と最多で、次いで30代が18・7%。CCCの池田貴哉図書館長(30)は「小さい子ども連れの利用が増え、滞在時間も延びた」と手応えを口にする。
6月23日、100万人目の来館者となったのも親子連れだ。宇土市のアルバイト女性(35)は初めて訪れ、「とてもおしゃれで驚いた。ゆっくり見て回りたい」と目を輝かせた。
課題の美術館は、23年度入場者が3万5千人と新装前の2倍に増えたものの、全来館者の1割にも満たない。広報担当の三浦梓さん(31)は、市民が自由に創作活動できるアトリエや子ども向けイベントの周知に力を入れる考え。「美大卒のスタッフたちと話しながら作品をつくる体験を通して子どもの自由な発想を育み、アートの敷居を下げたい」と意気込む。(清島理紗)
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