熊本城宇土櫓、400年前の瓦見つかる 加藤家時代に製造 熊本地震からの復旧工事で再利用も
熊本地震で被災した熊本城宇土櫓[やぐら](国重要文化財)の解体復旧工事中に、加藤清正と2代忠広が治めていた慶長年間(1596~1615年)ごろに作られたとみられる瓦が再利用可能な状態で残っていることが確認された。過去の調査で同時期の瓦があることは分かっていたが、熊本市は「宇土櫓の創建の由来を考える上で貴重な史料。熊本地震を乗り越えて残っていたことはうれしい」という。
復旧工事の文化財調査を担う公益財団法人文化財建造物保存技術協会と市によると、残存が確認されたのは櫓1階東側のひさしの軒先にふかれていた瓦12枚(各縦約30センチ、横約26センチ、厚さ約2・5センチ)。江戸時代初期の瓦の特徴が見られ、加藤家の桔梗[ききょう]紋が施されている。瓦の取り外し作業はまだ続いているが、宇土櫓で確認された瓦の中では最も古い年代という。
大天守と小天守に次ぐ「第三の天守」とも呼ばれる宇土櫓は、3層5階・地下1階(高さ19メートル)で、創建時の姿を残す唯一の多層櫓。慶長年間の創建とされるが、詳しいことは分かっていない。別の場所から移築されたという説もあり、今回の瓦は宇土櫓が現在地に建造された経緯に迫る重要な史料になるという。
宇土櫓には、慶長期の瓦が確認されたひさし以外にも、江戸期の瓦が多数残存する。日当たりが良く、雨が当たる量が少ない上部に比較的多く残っているという。最上部にあった「元禄八 小山 次郎太」と刻印された瓦は、元禄8(1695)年に現在の熊本市東区小山で次郎太という職人が作ったことを示す。
同協会は「宇土櫓の瓦は何度もふき替えられているが、今回確認された300~400年前の瓦はまだ使えるものがあり、当時の職人の技術力の高さが感じられる」と驚く。市は再利用可能な瓦は使用する方針で、「現時点では今回の瓦を一般公開するかは未定だが、年代が特定できるなど重要度が高く、再利用できない瓦については保管・展示を検討していく」としている。(前田晃志)
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