県南の活性化へ「経済連携協議会」設立 八代・人吉・水俣の3商議所 「南北格差」是正目指す
![熊本県南経済連携協議会を設立した八代商工会議所の竹永淳一会頭(左)、人吉商工会議所の岩下博明会頭(中央)、水俣商工会議所の深水康之会頭=17日、八代市](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2024-06/IP240617TAN000077000_01.jpg?itok=gDBCxxuZ)
八代、人吉、水俣の3商工会議所は17日、熊本県南全体の経済活性化と雇用確保に向け、「熊本県南経済連携協議会」を設立した。自治体単位の枠を超えた活動を増やし、経済や人口面で指摘される「南北格差」是正を目指す。複数の商議所による経済団体設立は県内初という。
協議会は当面、3商議所で構成するが、県南地域の他の経済団体への拡大も検討する。観光や雇用など分野別の部会を設ける。県の県南広域本部や芦北、球磨の両地域振興局に加え、八代、人吉、水俣3市がアドバイザーとして参加する。
今後の活動内容として、県の「くまもと県南フードバレー構想」強化や観光情報の共有、発信なども発表。人手不足解消や人口減少対策につながる雇用の確保でも協力する。
この日は八代市役所で発足式があり、八代商工会議所の竹永淳一会頭(67)、人吉商工会議所の岩下博明会頭(89)、水俣商工会議所の深水康之会頭(71)ら約40人が出席。代表に就いた竹永会頭は「県南の経済浮揚に向け一丸で取り組む」とあいさつした。
各商議所の会員数(4月1日時点)は八代2092、人吉1080、水俣820。(河内正一郎)
![熊本県南経済連携協議会の発足式=17日、八代市](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2024-06/IP240617TAN000074000_01.jpg?itok=KBAR6y4a)
◆消費拡大や観光振興…域内25万人のスケールメリットを
八代、人吉、水俣の3商工会議所が17日に「熊本県南経済連携協議会」を設立した背景には、県南地域の現状への強い危機感がある。県北は台湾積体電路製造(TSMC)の進出に沸き、熊本都市圏も自治体間で連携を深める。3商議所の管内を中心とした県南15市町村の人口は約25万人。スケールメリットを域内の消費拡大や観光振興などに生かす考えだ。
民間組織「人口戦略会議」が4月に発表した「消滅可能性自治体」に県南の9市町村が該当。「消滅可能性」を脱した人吉市も3月末、住民基本台帳の人口が初めて3万人を切った。
TSMCの菊陽町進出に伴い、県北や熊本都市圏で関連企業の進出が相次ぐ。熊本市などでつくる「熊本連携中枢都市圏」は、発足当初の16市町村から20市町村に拡大。合同の就職説明会や移住促進に取り組む。
八代商工会議所の竹永淳一会頭(67)は「県南でも熊本都市圏のような取り組みが必要」と、3年前から構想を温めて他の商議所と準備を重ねてきた。
まずは昨年10周年を迎えた県の「くまもと県南フードバレー構想」の活性化に力を入れる。豊富な農林水産物を生かし、食関連の研究開発を促す内容だが、商品や構想自体が県南の企業や住民に浸透し切れていないと分析。会員に地域の枠を超えた商品開発を呼びかけ、県南の食や酒を周知して消費額の増加を目指す。
観光では、八代市の妙見祭や人吉市のおくんち祭、水俣市の恋龍祭といった行事を相互に情報発信し、交流増を狙う。雇用でも、合同の企業紹介などを検討し、若者の確保を図る。
竹永会頭は「これまでは自治体単位の活動になりがちだった。協議会設立を機に、県南で経済が回る仕組みをつくりたい」と意欲を見せた。(河内正一郎)
RECOMMEND
あなたにおすすめPICK UP
注目コンテンツTHEMES
熊本の経済ニュース-
熊本空港、貨物便が苦戦 取扱量はコロナ禍前の半分 県、時間延長など機能強化へ
熊本日日新聞 -
「アトツギ」支援します! 熊本市が中小企業後継者向け事業 クロスポイントで7月末から
熊本日日新聞 -
竜門ダムの未利用水、活用に一歩前進 県、TSMCなどに供給めざす 農業用パイプラインの利用承認【守る生かす熊本の水】
熊本日日新聞 -
熊本県商工会議所連合会が総会 台湾の経済団体と交流へ
熊本日日新聞 -
EC市場の展望は? サイバーレコード(熊本市)の増田一哉社長 東アジアの消費者を視野 熊本の食品を海外へ【景気データ+α】
熊本日日新聞 -
JA熊本経済連は減収増益 農業機械買い控え響く 外食・業務用需要は回復 2024年3月期決算
熊本日日新聞 -
7月の野菜、入荷量・価格とも前月並み 九州農政局が見通し
熊本日日新聞 -
熊本国際空港(2024年3月期)【決算・熊本】
熊本日日新聞 -
熊本県漁連、3年連続で増益 ノリ取扱髙が過去最高 2024年3月期決算
熊本日日新聞 -
熊本市で新型「フリード」発表会 県ホンダ会
熊本日日新聞
STORY
連載・企画-
移動の足を考える
「すべての道は熊本に通じる」とは、蒲島郁夫前知事が熊本県内の道路整備に向けた意気込みを語る際に使ってきたフレーズ。地域高規格道路などの骨格的な道路や鉄道網は、地域・産業の活性化はもちろん大規模災害時の重要性も注目されています。連載企画「移動の足を考える」では、熊本県内の〝足〟の現在の姿を紹介し、未来の形を考えます。
-
学んで得する!お金の話「まね得」
お金に関する知識が生活防衛につながる時代。税金や年金、投資に新NISA、相続や保険などお金に関わる正しい知識を、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格取得を目指す記者と一緒に楽しく学んでいきましょう。
※次回は「相続・贈与は難しい」前編。7月12日(金)に更新予定です。