メダカ贈り15年、環境教育の力に YKKAP九州製造所(八代市) 敷地で飼育
八代市のYKKAP九州製造所が、敷地内の池で育てたニホンメダカを理科の教材用に市内の小学校に贈る活動を続けている。住宅・ビル用の窓やアルミ製品製造など本業の傍ら、地域貢献活動として2010年に始め、今年で15年目。環境教育の出張授業にも力を入れており、好評だ。
近年、絶滅の危機が高まっているメダカを育てるきっかけは、ひょんなことだった。「メダカを観察する授業で使う天然のメダカが手に入らない」。15年前、社員の知り合いの小学校教諭から受けた相談だった。
その後、社員が市内の川や用水路を何カ所も回ってメダカ数匹を捕獲し、工場敷地内で育て始めた。16年には長さ30メートル、水深15~30センチの小川も造り、飼育を本格化した。
5月30日には、金剛小に50匹を贈呈。理科の授業で使う5年生に届けた同製造所の村上肇所長は、「メダカの学習を通して新しい気づきを得てほしい」とあいさつ。代表で受け取った森内琥南[こなん]さんは「大きいメダカを大事に育てて、100匹まで増やしたい」と笑顔で感謝した。
この日、同小で社員による出張授業もあった。メダカを贈る取り組みに当初から携わる吉岡敬さん(50)は「ボウフラ対策で外来種のカダヤシが用水路に放流されたことで、ニホンメダカの生息環境が狭まった」と絶滅が危ぶまれている背景を説明し、「自然の変化を実感してほしい」と環境保全の大切さを子どもたちに呼びかけた。
今年は3校に寄贈し、贈ったメダカは延べ40校の計1950匹となった。
「環境負荷ゼロ」を掲げる同製造所の敷地には緑地が広がり、工場排水の水質を監視する池も設けている。ヤギ15頭を飼育し、敷地の雑草を食べさせることで草を刈るための燃料消費を抑える工夫もしている。社員寮の敷地の畑では、地元の園児向けにイモ掘り体験教室も開いている。
同製造所は「地域や自然と共生を図ることが重要。地域社会とのつながりも大切にし、地球環境を未来につないでいきたい」としている。(上島諒)
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