慢性疲労症候群の臨床試験へ 今夏、抗体薬「リツキシマブ」
原因不明の激しい疲労が長期間続く「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」の治療薬候補の有用性を調べる医師主導の臨床試験(治験)を、国立精神・神経医療研究センターが今夏にも始めることが12日、分かった。悪性リンパ腫などで使われている抗体薬で、免疫細胞による炎症を抑える働きが期待される「リツキシマブ」を使う。
ME/CFSは、免疫が自律神経系を攻撃して炎症を起こすのが原因の一つと考えられ、新型コロナ感染後の後遺症としても報告される。漢方薬やステロイドで症状を和らげる治療が行われるが、効果を長続きさせるのが難しく、確立されたものはない。
リツキシマブは免疫細胞による自分の体への攻撃を抑える働きがあり、自己免疫疾患の治療にも使われている。同センター神経研究所の山村隆・免疫研究部長によると、リツキシマブを投与した患者の症状が回復した事例がノルウェーで報告され、同国で実施した初期の治験でも良好な結果が出たが、最終段階では明確な効果が確認されなかった。途中で投与量を減らしたことなどが影響した可能性がある。
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