「ホロンバイル事件」で敵列車を脱線 部下を先に後退させ自身は犠牲に 熊本の地元2紙が伝えた「武人の鏡」荒木大尉 満州事変の軍神化へ報道も過熱
熊本市出身の陸軍工兵大尉・荒木克業[かつなり](1907~1932年)は、25歳の若さで戦場に散り、満州事変における「軍神」にされた。荒木の業績や人となりを熊本日日新聞の前身の「九州新聞」と「九州日日新聞」の記事からたどった。
荒木は1907年10月20日、熊本県飽託郡内田村[ほうたくぐんうちだむら](現・熊本市南区)に生まれた。6人きょうだい(末っ子の次女・菊子は荒木の死後に生まれたため、生前は5人きょうだい)の次男。尋常小学校3年の時、生家2階の白壁に「日本一克業」と落書きするように、幼い頃から「負けじ魂」を持った少年だったとされる。この落書きは今も生家に残っている。
母のスエは荒木の尋常小時代の成績について「唱歌が下手で算術が得意だった」と回顧している。九州新聞は、荒木少年が「歌か話か分からないほど唱歌下手」だったが、論理的で沈着だったと家族の証言を基に伝えている。
荒木は尋常小5年まで内田村で過ごした後、親戚を頼って大阪に引っ越した。大阪の旧制中学に1年在籍した後、熊本陸軍幼年学校に入校。その後、陸軍士官学校へと進み、士官学校を出た後は、千葉の部隊に所属しながら陸軍砲工学校(東京)に入った。1929年4月に少尉に、1932年1月に中尉に昇進している。
荒木の満州での活躍ぶりは戦死後、当時の地元2紙が競うように報じている。
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