名物駅弁「大船軒」、地元に別れ JR東日本が再編、販売は継続
日本初のサンドイッチの駅弁や「鰺の押寿し」で知られる「大船軒」(神奈川県鎌倉市)のJR大船駅近くにある社屋兼工場が、約90年の歴史に幕を下ろした。合併先のJR東日本のグループ会社が、製造拠点を埼玉県に集約した。大船軒の商号や名物駅弁は残るが、工場のレトロな喫茶スペースや限定メニューを惜しむ声が上がる。
大船軒は1898年に開業した。創業者と親交があり、第2代首相を務めた黒田清隆から外遊で食べたサンドイッチの話を知り、日本で初めて駅弁に採り入れた。サンドイッチが日本中に広まり特色を失うと、近海で取れるアジに着目。押しずしにすると、現在まで続く看板商品になった。
列車の高速化で乗車時間が短くなり業績も落ち込み、2009年にJR東のグループ会社傘下に。今年4月に合併し会社は消滅、1931年から使われていた大船工場は5月末に操業を終えた。
6月から他の駅弁ブランドと共に、埼玉県戸田市に製造場所を移転。主要メニューや各駅の売店は継続するが、ご飯がふんわりとした通称「押さない押しずし」は終了する。
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