「天草のラピュタ」巨大アコウ 天草地域、樹齢300年の巨木も

熊本日日新聞 | 2021年02月07日 11:30

「天草のラピュタ」と呼ばれている西平椿公園のアコウの巨木。手前で清掃する西平カメリアクラブのメンバーが小さく見える=天草市
樹齢約300年の永目神社のアコウ。幹回りにはしめ縄がまかれている=上天草市

 亜熱帯植物のアコウ。幹などから出た気根や露出した根が長く伸び、独特の雰囲気を醸し出す木だ。鹿児島県の奄美大島には、老木に「赤毛の妖怪」がすむという伝説もある。熊本県の天草の海岸沿いで100年以上も生き抜いている“アコウの巨木たち”を訪ねた。

 天草下島の西海岸沿いの高台に広がる西平[にしびら]椿公園(天草市天草町)。中央の駐車場から、薄暗いツバキの原生林の急斜面を降りていくと、アコウの巨木がこつ然と現れた。

 まるで生き物の足が大きな岩をつかむように、気根や根が長く伸びている。アニメ映画「天空の城ラピュタ」を連想させることから、「天草のラピュタ」とも呼ばれている。高さ約20メートル。樹齢は不明だが、「ゆうに100年以上」と推定されている。

 近くの住民でつくる「西平カメリアクラブ」が、市の委託を受けて公園を管理。アコウ周辺の清掃なども担っている。白迫修一会長(69)によると、「アコウがあるのは昔から分かっていたが、大きな樹木に覆われていて、だれも気に留めていなかった」と言う。7年ほど前に、周辺の木を伐採したところ、「見事な姿が現れたんです」。2018年、近くの崎津集落が世界文化遺産に登録されたのを機に、SNS(会員制交流サイト)などで取り上げられ、広く知られるようになったという。

 「アコウのある海に面した西斜面は、台風の時に強風が吹き付ける場所。100年以上も岩に張りつき人知れず生きてきたので、強い生命力を感じる。多くの人に見てほしい」と白迫会長。

 天草上島の東海岸にある永目神社(上天草市姫戸町)のアコウは、その大きさで訪れる人を驚かす。幹回り11メートル、樹齢は約300年。全国でも3番目の大きさという。

 無数の気根や根が、地面で編み目のように重なりながら広がり、神社の境内を覆っている。観光で訪れた宇城市松橋町の石原大輔さん(78)は「聞いていた以上の大きさ。よく300年も生きているねえ」。近くの住民は、アコウを「ご神木」として大事にしており、幹の回りにはしめ縄がまかれていた。県指定天然記念物。

 「猫島」として知られ、有明海の真ん中に浮かぶ湯島(同市大矢野町)。民家が並ぶ海岸沿いに、樹齢100年を超えるアコウの巨木が点在している。浜辺のアコウの木陰には長いベンチやいすが置かれ、島人たちの憩いの場になっている。

 湯島では以前から、アコウが防風林として用いられたが、最近は家の建て替えなどで減る傾向にある。「売店アコウ樹」は、裏にアコウの巨木があることから、その店名がつけられた。店主の渡辺貞美さん(74)は「昔は1軒に1本あるぐらいアコウは多かった。年々少なくなりますね」と寂しがっていた。

 天草以外では、宇城市三角町の三角西港の岸壁沿いにも大きなアコウが数本ある。(森嘉男)

 ◇アコウ クワ科イチジク属の常緑高木。日本では沖縄や九州、四国南部などに自生している。九州の北限は佐賀県唐津市。伸びた気根が近くの木を覆い尽くして枯らすことから、「絞め殺しの木」の異名も。ガジュマルに似ているが、アコウの方が耐寒性があり、ガジュマルの北限は鹿児島県。イチジクのような小さな実が幹や枝に直接つく。 

「売店アコウ樹」の裏にあるアコウの巨木。根元のほこらは木と一体化していた=上天草市大矢野町
枝に直接ついたアコウの実。イチジクに似ており、直径約1センチほど=宇城市三角町

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