「田の神さあ」で豊作祈願 宮崎・えびの市 薩摩藩領時代の風習残る メーンは軽トラパレード 〝化粧直し〟した石像乗せ行進
九州自動車道を南へ。人吉市から全長約6キロの長い加久藤トンネルを抜けると、県境を越えて宮崎県えびの市に出る。江戸時代に薩摩藩領だった同市は、今も鹿児島弁が“共通語”なのだそうだ。田んぼのあぜなどに「田の神さあ(タノカンサア)」と呼ばれる石像を置き、豊作を祈願する薩摩藩領独特の風習も、市内各地に残っている。4日に「田の神祭り」を開いた末永地区を訪ねた。(森嘉男)
「田の神祭り」のメインイベント「軽トラックのパレード」が始まった。主役は、軽トラックの荷台の中央に、どんと据えられた田の神さあだ。色鮮やかなのぼりをたなびかせた軽トラックは、田んぼの間の農道をゆっくり行進していく。田の神さあに似せて化粧をした地区民3人も付き添い役で同乗。沿道の人たちを楽しませていた。
田の神さあは、普段は道沿いの小さなほこらに安置されている。パレードの前、ほこらから取り出し、体の色をきれいに塗り直す“化粧直し”も行われた。「田の神さあは、末永の守り神。車に乗って地区を巡回していただき、今年の田んぼの様子を見てもらうんです。豊作を期待してます」と話す自治会長の野田勤さん(74)は笑顔だ。コロナ禍の影響が薄れ、4年ぶりに実施できたパレードに、ひと安心のようだ。
「田の神」信仰は全国にある。山の神が春になると里に下りて「田の神」になり、田を守って豊作をもたらすといわれている。だが、「田の神」を石に刻み(多くは着色)、信仰の対象にするのは薩摩藩領だった鹿児島県と宮崎県南西部だけだ。なぜ薩摩藩領だけにあるのかは、よく分かっていない。
残り 712字(全文 1376字)
RECOMMEND
あなたにおすすめPICK UP
注目コンテンツNEWS LIST
熊本のニュース-
「水俣病と知られたくない」…故郷離れても孤独の日々 京都府在住の76歳男性 差別、偏見に翻弄、患者認定も「楽しみは少ない」
熊本日日新聞 -
郷土力士に大歓声 西原村で大相撲巡業 熊本地震からの復興記念
熊本日日新聞 -
【菊池市議会】3日一般質問
熊本日日新聞 -
TSMC進出・菊陽町の新駅開業、29年春以降に延期 町が「立地適正化計画」策定へ
熊本日日新聞 -
インドサイの赤ちゃん、名前は「デコポン」 JA熊本果実連、多摩動物公園にデコポン贈る
熊本日日新聞 -
水俣市の高岡医師の著書「水俣病と医学の責任」、日本医学ジャーナリスト協会賞の優秀賞 研究者の不作為指摘
熊本日日新聞 -
南関町のPFAS検出 産廃処分場の周辺井戸は目標値下回る
熊本日日新聞 -
【人吉市議会】3日一般質問
熊本日日新聞 -
県境超えて連携確認 熊本、福岡県警が緊急配備訓練
熊本日日新聞 -
女子生徒2人のスカート内を盗撮 熊本県立高の男性教諭を懲戒免職
熊本日日新聞
STORY
連載・企画-
移動の足を考える
熊本都市圏の住民の間には、慢性化している交通渋滞への不満が強くあります。台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出などでこの状況に拍車が掛かるとみられる中、「渋滞都市」から抜け出す取り組みが急務。その切り札とみられるのが公共交通機関の活性化です。連載企画「移動の足を考える」では、それぞれの交通機関の現状を紹介し、あるべき姿を模索します。
-
学んで得する!お金の話「まね得」
お金に関する知識が生活防衛やより良い生活につながる時代。税金や年金、投資に新NISA、相続や保険などお金に関わる正しい知識を、しっかりした家計管理で安心して生活したい記者と一緒に、楽しく学んでいきましょう。
※次回は「多様な決済方法」。12月6日(金)に更新予定です。