教員のわいせつ行為 実効性ある対策が急務だ

01月12日 09:16

 文部科学省は昨年末、2019年度にわいせつ行為やセクハラで処分された公立学校などの教員が273人に上ったことを明らかにした。最多の18年度から9人減ったものの、高止まりしている。

 被害者の半数近くは18歳未満の教え子らである。子どもを教え導く立場にある教員が、「魂の殺人」とも言われる性被害を引き起こしている現実をもっと深刻に受け止めるべきだ。実効性のある対策を早急に講じたい。

 教員のわいせつ行為が根絶できない背景には、性被害が表面化しにくいという教育界の構造的、組織的な問題があるといわれる。調査で明らかになった数字も氷山の一角だろう。

 学校での性被害は「スクールセクハラ」と呼ばれ、性犯罪だけでなく、子どもが不快に感じる行為も含まれる。「軽いスキンシップのつもりだった」などという言い訳は通用しない。教員は児童生徒に対して圧倒的に優位な立場にある上、被害が密室で起きることも多いからだ。

 耐え難い思いをしても子どもは拒否できず、行為が次第にエスカレートすることさえある。教員には、誰もが加害者になり得るという自覚が求められる。

 専門家は被害が減らない要因として、発生時点での調査が不十分な点を挙げる。教員が否認した場合、学校現場が真相究明に消極的になるとの批判も少なくない。何より、調査の主体を“身内”の校長や教育委員会が担うことが通例となっている。有識者や弁護士など第三者も交えて解決策を探り、そこで得られた成果を現場に還元する仕組みを整えるべきだ。

 国が昨年定めた「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」は、20年度から3年間を対策の「集中強化期間」としている。具体的な施策として「わいせつ行為を行った教員等の厳正な処分」という項目も盛り込まれている。

 文科省は各教委に対し、わいせつ行為をした教員を原則懲戒処分にするよう要請。懲戒免職で失効した教員免許の再取得が可能となる期間を3年から5年に延ばす検討や、教委が免職処分歴を閲覧できる期間を3年から40年に延長するなど、対策を強化し始めた。

 福岡県では本年度から、専門の研修を受けた性暴力対策アドバイザーを小中高校などに派遣する事業を始めた。児童・生徒の発達段階に応じ、性暴力の根絶や被害者支援に関する総合的な教育をするという。静岡県では政令市以外の全公立学校で、小5~高3を対象にセクハラの有無を問うアンケートを実施している。いずれも被害の予防と早期発見を目指す取り組みで注目に値する。

 日本の教員は「世界一忙しい」と言われる。19年度に精神疾患で休職した教員は過去最多の5478人に達した。大半の教員はそうしたリスクを背負いながら、子どものために精いっぱい働いている。一部の不届き者のために信頼が損なわれている状況を、一日も早く打開してもらいたい。

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