コロナ変異株拡大 急ぎたい検査体制の強化 

04月02日 09:15

 新型コロナウイルスの変異株に感染した可能性のある事例が、熊本県内でも次々確認された。確定検査のため、国立感染症研究所(東京)に検体を送って遺伝子解析を進める。県内の新規感染者数は一時期に比べて落ち着いているが、変異株は感染力が強いとされているだけに、注意が必要だ。

 コロナに限らず、ウイルスは増殖する過程で遺伝情報に乱れが生じて変異を繰り返す。その頻度はどれだけ流行するかによって左右され、新型コロナの場合は2週間に1回程度のペースで変異しているという。このうち、警戒されているのは英国、南アフリカ、ブラジルで見つかった三つの変異株。いずれも、ウイルスの表面にあり、人間に感染する際に重要な働きをする「スパイクタンパク質」が変異したことで、感染力が上がったとみられる。

 昨年9月に最初に報告された英国株は、感染力が従来型より最大1・7倍、死亡率は1・3~2倍高いとの指摘がある。従来型では感染率が低かった若年層でも広がりやすい疑いがあり、厄介だ。南ア株とブラジル株はウイルスに対する人間の免疫を弱める性質を持つとみられ、南ア株への既存ワクチンの効果は不透明。ブラジル株は、再感染の危険があるという研究結果もある。

 英国株は、既に世界100カ国以上に拡大した。南ア株やブラジル株も合わせれば変異株確認は約120カ国に達し、三つ全てが見つかった国は日本を含め約20カ国に上る。フランスのマクロン大統領は「英国株はより危険だ」と訴え、外出や店舗営業に関する規制を強化。ドイツ各地でも新規感染者が急増しており、欧州では、変異株による感染再拡大への警戒感が強まっている。

 日本でも変異株の感染者が確認された都道府県は30を超え、クラスターとみられる事例が発生した。特に関西で感染者が増えており、厚生労働省に対策を助言する専門家組織は「一定程度、変異株の影響があるだろう」との見解を示している。欧州のように、流行の主流が在来型から変異株に置き換わりつつある可能性が高い。

 変異株は、自治体のPCR検査で陽性だった検体を遺伝子解析して調べなければならず、確定に時間がかかる。国内の検査体制は十分と言えず、感染の広がりの実態把握が進んでいない。政府は、検査の抽出割合を陽性者数の5~10%から40%程度に引き上げる目標を掲げたが、自治体任せにせず、早期把握のためにも政府主導で検査体制を強化すべきではないか。

 ただ、専門家は「変異株をむやみに恐れる必要はない」と冷静な対応を促している。感染力が強くても、予防策は従来型と同じとみられるからだ。マスク着用や手洗いを徹底し、「3密」を避ける。大人数での会食は控える-。感染拡大を防ぐ策は、私たちの日ごろの行動にある。4月は進学や人事異動による人の移動のほか、歓送迎会など飲食の機会が増える時期だが、気を緩めてはならない。

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