COCOA不具合 早急に再発防止の体制を

02月09日 09:18

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ手段として厚生労働省が推奨してきたスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の一部で、陽性者との接触が通知されない不具合が、4カ月放置されていた。

 アプリへの対応を開発業者任せにして、厚労省が実機での動作確認を怠っていたのが原因とみられる。特別定額給付金の手続きを巡るトラブルに続き、デジタルによるコロナ対策の信頼を揺るがす大失態だ。「第3波」での新規感染は減少傾向とはいえ、国や自治体独自の緊急事態宣言は延長されている。システム修正と再発防止の体制を早急に整える必要がある。

 COCOAは、スマホの近接通信機能を利用して、感染者と濃厚接触した可能性を通知する。安倍晋三前首相時代の昨年6月に導入され、感染経路の追跡に有効とされている。米アップルのiPhone(アイフォーン)版とアンドロイド版があり、ダウンロード総数は約2500万件。今回の不具合は3分の1を占めるアンドロイド版で起きた。

 9月末のバージョンアップ時に潜んでいたプログラムミスを見落とし、陽性者との接触通知が送られなくなっていた。11月末にインターネットの技術系サイトで指摘があり、年末には会員制交流サイト(SNS)でも投稿が相次いだため業者が調査開始。厚労省は業者からの報告を受け、今年1月ようやく事態を把握した。

 この時期には首都圏を中心に感染が急拡大していた。早期にシステムを修正していれば、感染抑制の効果を発揮できていた可能性もある。最初の指摘を受けてから、なぜ即座に確認作業へとつなげなかったのか。厚労省は今後、アプリ品質の確認をできるよう専門家を増員する考えだが、業者との役割分担なども含め、不具合放置の詳しい検証を行い、対策を練ってもらいたい。

 スマホアプリには多少の不具合がつきものとはいえ、今回のケースでは初動対応が遅れ、どれだけの人に陽性者との接触通知が送れなかったのかも把握できていない。「速やかに使ってもらうことを重視していた」(厚労省)という事情があるにせよ、緊急性の高いアプリとして致命的なミスを招いた。菅義偉首相は「お粗末だった」と陳謝したが、菅首相が重要施策としている「行政デジタル化」への信用低下は避けられないだろう。

 マイナンバーカードを含め、政府のデジタル政策は、システムが完成すればそれで終わりという印象が強い。平井卓也デジタル改革担当相は、9月のデジタル庁創設後はCOCOAのようなアプリは「自ら開発し、責任をもってやりきる」と述べたが、従来の各省庁のシステム対応すべてを新組織に丸投げするわけにもいくまい。

 政府全体で情報通信技術(ICT)分野での知識や理解を深め、システム導入後のメンテナンスに努めなければ、トラブルは減らせないのではないか。

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