「スマホで読書」アリ?ナシ? 手軽に電子書籍購入や持ち運び 目の疲れ、シェアしにくい…

熊本日日新聞 | 2020年10月24日 14:00

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 スマートフォンの普及によって、映画や音楽、テレビ、ラジオなどを手軽に楽しめるようになった。電子書籍もその一つ。小説や漫画、自己啓発本など種類も多く、熊本県内の自治体の一部は、学校の授業にデジタル教科書を使い始めた。読書の秋-。スマホで読書するのはアリ? それともナシ?

 16~25歳の20人にアンケートしたところ、「アリ派」は16人、「ナシ派」は4人だった。16人の大多数は、電子書籍の利便性の高さを「アリ」の理由として挙げた。

 利便性の一つは、持ち運びやすさ。熊本西高1年の西武彦さん(熊本市西区)は「紙の本には重いものもあるが、電子書籍だとスマホだけで済む。学校で電子書籍を読むのは禁止だけれども、許可されたらもっと読みたい」と関心の高さを示した。

 購入が手軽という意見もあった。「時代に合った、どんな書籍も手に入れやすい」と話すのは会社員の谷川耀一さん(24)=同市東区。会社員の野間雄大さん(23)=同市北区=は「買いたいと思った時にどこでも買えて、すぐに読める。ちょっとした空き時間にも楽しめる」。

 熊本大3年の遠山薫さん(22)=同市東区=は「紙の本だと破れたり、ぬれたりして読めなくなることもあるが、データならその心配がない」と、意外なメリットを強調した。

 電子と紙を用途に応じて使い分ける人も。会社員の吉田沙依さん(23)=同市北区=は「好きなアイドルが載っていて手元に残したいときは紙の本を買い、それ以外は電子書籍」という。

 一方、ナシ派の若者は、紙に対する強いこだわりがあった。

 九州ルーテル学院大3年の中山光歩さん(21)=同市中央区=は「電子書籍は目が疲れ、流し読みになりがち。じっくり読むなら紙の本が集中できる」ときっぱり。

 福岡市から熊本市に帰省中だった西南学院大1年の本田拓郎さん(19)が高校時代に楽しんでいたのは、友人との漫画の貸し借り。「紙の漫画は友人とシェアし、多くの作品に触れることができた。データだとそれができなくなる」と寂しげな表情を浮かべた。

 「電子書籍は味気ない」という専門学校生の磯辺由結さん(20)=熊本市中央区=は、ページを指でめくって大好きなライトノベルを読んでいる。紙の小説や漫画を集めることが趣味になっているといい、「自宅には本に囲まれた空間があり、すぐに手に取って読めるようにしてある」と目を輝かせた。(田中慎太朗、鬼束実里)