ホームセンター競争激化、熊本県内に業界上位進出 「巣ごもり需要」追い風、再編も加速

熊本日日新聞 | 2020年10月10日 16:30

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9月の八代店に続き、イオン熊本中央店内にオープンした「スーパービバホーム」=8日、熊本市中央区

 ホームセンター同士の競争が熊本県内でも激しさを増してきた。売上高が業界6位のLIXI[リクシル]Lビバ(さいたま市)が相次いで八代、熊本両市に2店舗を出店。迎え撃つ側も九州発祥と全国チェーンの店舗が入り交じり、独自色を発揮しながらしのぎを削っている。

 熊本市中央区大江のイオン熊本中央店の1、2階に8日、「スーパービバホーム」がオープンした。売り場面積は8300平方メートル。熊本中央店の半分近くを占め、プロ向けのリフォーム用資材など10万点をそろえる。

 LIXILビバは9月、イオン八代ショッピングセンター(八代市)内に県内1号店を出店したばかり。まとまったスペースに「居抜き」で入居することで開発コストを抑えるとともに、食品スーパーとの同居で集客効果を狙う。

 渡邉修社長は「熊本は170万の人口を持つ魅力的な市場。商圏は車で30分圏内に1店舗を目安としており、まだまだ出店余地がある」と意欲的だ。

 県内には既に業界最大手のカインズ(埼玉県本庄市)が2017年に宇土市に進出。農業資材などを強みとする業界4位のコメリ(新潟市)が農村部にも積極出店している。これら全国チェーン以外に、家具店発祥で同5位のナフコ(北九州市)、園芸資材などの品ぞろえを充実させたハンズマン(宮崎県都城市)などが立地し、競争が過熱気味だ。

 08年にDCMダイキ(松山市)の子会社となり、現在は「ダイキ」ブランドで県内に12店舗を構えるホームセンターサンコー(熊本市)は、ビバホームの進出を「品ぞろえが豊富で、脅威と言えば脅威。今まで熊本市の中心市街地にホームセンターはなく、どのような影響があるか様子を見たい」と話す。

 ただその一方で「例えば県北と県南ではくわの形が違う。そういった地域ニーズを把握している」と、地場チェーンとしての強みを強調する。

 一方、ナフコはインテリアなどの品ぞろえを強化して女性の取り込みを進めており、「売り上げを奪われることなく、互角に戦っている」と力を込める。

 ホームセンター業界はこのところ新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣ごもり需要」を背景にDIY関連用品などが好調なところが多い。ただ店舗が増える傍ら、全体の販売額は横ばい傾向にある。

 こうした中、再編も加速。北陸地方などでチェーン展開しているアークランドサカモト(新潟県三条市)が6月、LIXILビバを子会社化する意向を表明。今月に入ってDCMダイキを傘下に置くDCMホールディングス(東京)が関東一円に店舗を持つ島忠(さいたま市)を買収する方針を発表し、実現すれば業界2番手からトップに躍り出る。

 地方経済総合研究所(熊本市)の濱洲拓哉研究員は「市場全体が成熟する中、大手は経営統合で輸送費や商品開発費などのコストを下げる戦略を取っている」と分析。各社の生き残りに必要なポイントとしてネット通販への対応や商品の提案力を挙げる。(丸山伸太郎)