新ターミナルビル、内部を公開 23日開業の熊本空港 関係者ら記念式典

熊本日日新聞 | 2023年3月20日 11:03

新旅客ターミナルビル3階の「滞在型ゲートラウンジ」。郷土の酒や菓子などの土産物が数多く並べられている=19日、益城町の熊本空港(上杉勇太)

 熊本空港の新しい旅客ターミナルビルの23日開業を前に19日、益城町の現地で開業記念式典があり、空港関係者らが2016年4月の熊本地震からの創造的復興のシンボルとして、地域の発展に貢献できる施設とすることを誓った。

 熊本地震で旧ターミナルビルが被災したのを機に、建て替えを前提にした民営化論議がスタート。20年4月から空港を運営している熊本国際空港(同町)が21年1月に着工した。

 新ビルは、別々の建物に分かれていた国内線と国際線のターミナル機能を一体化。鉄骨造4階建てで、延べ床面積は従来の1・4倍の3万7800平方メートル。総工費は195億円。

国内線と国際線どちらの乗客も利用可能な「滞在型ゲートラウンジ」。天井板には小国杉が使用されている

 保安検査後の搭乗待合エリアを、国内線と国際線の利用客が共用できる「滞在型ゲートラウンジ」として整備し、飲食店や土産店が26店入居。総店舗数を従来より14店多い31店(免税店1店舗含む)とした。

 旧ビルが被災した経緯を踏まえ、新ビルは安全安心に重きを置いており、揺れを制御する補強材「制震ブレース」を採用し大地震に耐えられる構造とした。複数の変電所から受電できるようにして電源などのライフラインも強化。必要最低限の機能を72時間維持できる非常用発電機も備えた。

 式典には、熊本国際空港の新原昇平社長や蒲島郁夫知事ら約70人が出席。新原社長は「地域の発展、熊本の発展に大きな役割を果たしたい」と述べた。(田上一平)

従来の10倍超の面積を有する免税エリアには、国内外の化粧品・香水14ブランドなどが展開する

 ◆「滞在型ゲートラウンジ」、熊本の魅力を世界に

 熊本空港を運営する熊本国際空港(益城町)は19日、新旅客ターミナルビル内に整備した、保安検査後の搭乗待合エリア「滞在型ゲートラウンジ」など新ビル内部を公開した。

 同ラウンジは3階に整備。国内線と国際線の共用型ラウンジとしては国内最大規模で、店舗面積(2500平方メートル)を従来の46倍に拡大し、搭乗直前までフードコートでの食事や買い物を楽しめるようにした。

「滞在型ゲートラウンジ」に並ぶ熊本の酒

 26店が出店。「鮨 福伸」は立ち食いカウンターで天草の新鮮な魚介類を使った寿司などを提供することにしており、運営するフクシンソラ(上天草市)の福田圭伸代表は「天草に行きたいと思わせる店舗にしたい」と意気込んだ。「山うにとうふ」を販売する五木屋本舗(五木村)の橋本貴也社長は「商品が海外に広まるきっかけになれば」と期待した。

 搭乗客以外も利用できる1階には、コンビニやカフェなど4店が入居。人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」と連携して県などが展開している熊本地震からの復興プロジェクトの発信拠点「『ヒノ国』ウェルカムエリア」もあり、県内各地に設置しているキャラクター像を紹介する。(田上一平)

新旅客ターミナルビル1階の到着ロビー前には、県産イ草を座面に使用したベンチが並ぶ
4階の展望デッキ。滑走路側にせり出した「花道型」を採用し、離発着する飛行機を間近で見ることができる
23日の開業を控えた熊本空港の新旅客ターミナルビル

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