受験対策、専門家に聞く【ほっとライン】

熊本日日新聞 | 2023年2月4日 13:00

 高校や大学の入試が本格化する2月。試験日に向けて緊張感が高まっている受験生も多いはず。本番直前の勉強法や、緊張をほぐすストレッチと呼吸法、体調を整える食生活など、アドバイスを専門家に聞いた。(米本充宏、伊藤恩希、樋口琢郎)

受験対策をアドバイスする壺溪塾の吉本進教科部長=熊本市中央区

◆「初見の問題に挑戦しよう」 壺溪塾教科部長・吉本進さん

 壺溪塾(熊本市中央区)の吉本進・教科部長(36)は「テストの2~3週間前にすべきことは、初見の問題への挑戦」だ。

 「テスト本番では初めて見る問題が必ずある。いきなり新傾向の問題が出ることもあり、焦って実力通りの力を発揮できない生徒が意外と多い」と指摘する。

 試験本番で動じないためのトレーニングとして、過去の問題や志望校に似た問題集の活用を勧める。また、短期間で得点アップが見込める課目として、知識力の向上が得点に直結する理科と社会を挙げる。数学も単元を絞るなら効果が見込める。

 吉本部長は2浪して東京大理科二類に合格した経験を持つ。試験日の過ごし方は「適度なリラックスが重要」と強調。当日の朝や試験科目の間の休憩時間は「気持ちを切り替えるために会場を散歩したり、音楽を聴いたりすることが大事」とアドバイスする。

 「勉強した人ほど分からない問題に出合い、不安な気持ちになりやすい。しかし、それはたくさん勉強したことの裏返し。ポジティブな心構えで試験に臨んでほしい」とエールを送る。

【写真1】首側面の筋肉を伸ばすことで緊張を和らげる
【写真2】腕の筋肉をほぐすストレッチ。緊張をほぐす効果がある
【写真3】休憩時間に立ったまま簡単にできる腰回りのストレッチ。腕を後ろで組み胸を張るのがポイントだ

◆「ストレッチで緊張ほぐす」 ヨガインストラクター・門永友香さん

 熊本市中央区でヨガスクールを主宰する門永友香さん(45)は「筋肉をほぐして、呼吸を整えることで、緊張を軽減できる。試験前や焦った時にすると効果的」と指摘する。人は緊張すると前傾姿勢になることが多いため、首と肩の筋肉がこわばるという。試験会場でできる三つのストレッチと呼吸法を紹介してもらった。

【いすの上で緊張緩和】

 首から肩にかけての筋肉をほぐすには①首を横に曲げる②曲げた方の手は側頭部に、もう片方は手のひらを外側に向けて背中に付ける③首側面の筋肉が突っ張る程度の強さで数秒間維持する=写真1。反対側も同様に。

 次に手首から肘にかけてストレッチ。①腕の内側を前面に向ける②手のひらを机の上などに付けた状態で重心を後方に移す=写真2。

 深呼吸も効果的だ。片方の手を胸、もう片方を腹に当てて目をつむりながら、①8秒かけてゆっくりと息を吐く②6秒かけて息を吸う③呼吸を2秒間止める-この動作を5回ほど繰り返せばリラックスでき、集中力アップにつながる。

【昼休憩時間は腰回り】

 骨盤回りの筋肉をほぐすストレッチは、昼の休憩時にお勧めだ。①足を肩幅に開く②片足のつま先は正面に、もう片方は90度ほど外側に向ける③外側に向けた足と同じ方向に上半身を倒し、腰側面の筋肉を伸ばす=写真3。血の巡りがよくなり、脳の働きの改善が期待できるという。

日赤熊本健康管理センター管理栄養士の嶋田けいさん=熊本市東区

◆「朝食に米 脳にエネルギー」 日赤熊本健康管理センター管理栄養士・嶋田けいさん

 「大切なのは偏りのない1日3食の食事」。日赤熊本健康管理センター管理栄養士の嶋田けいさん(49)は主食と主菜、副菜をバランスよく取ることが、良好な体調管理を支えるという。受験日に向け、食生活や体調を整えることは不安感解消にもつながる。

 特に重要な食事は“体内時計”にスイッチを入れ、脳や腸の働きを促す朝食だ。炭水化物には脳のエネルギー源になるブドウ糖が含まれており、中でも米がお薦め。嶋田さんによると「腹持ちが良く、ゆっくり嚙[か]むことで血糖値が緩やかに上昇し、眠気を誘いにくい」という。

 試験前日や当日に避けたい食事は普段、食べ慣れていない料理や油っこい料理。「胃腸に負担がかかり、おなかを壊しやすい」からだ。

 食事とセットで考えたいのがお通じ。長時間の勉強で運動はおろそかになりがち。水分や食物繊維を多く含む野菜を多く食べれば便秘の予防になる。「朝の快便が1日のコンディションを左右するといっても過言ではない」と嶋田さん。スタートダッシュをすっきり決めたい。

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