アフガン避難の一家、救いたい 熊本市の獣医師、身元引き受け決意 子どもたちの心のケアも…
熊本日日新聞 | 2022年03月15日 06:30

アフガニスタンの実権を握ったイスラム主義組織タリバンから逃れ、隣国パキスタンに避難中の一家を救おうと、熊本市中央区で開業している獣医師、小澄正敬さん(71)が身元引受人になって日本国内に受け入れることを決意した。「危険にさらされた一家に手を差し伸べ、命を救いたい」と、日本政府による入国許可を待っている。
避難している一家は、両親と子ども5人。小澄さんは一家の安全に配慮し、氏名などの公表は控えたいとしている。
小澄さんらによると、一家は日本に2014年から6年間滞在。父親は宮崎大で獣医学を研究していた。その後、母国復興のため帰国したものの、タリバンが政権を奪取。日本での滞在経験を理由に命を狙われる恐れがあるため、逃亡生活を余儀なくされた。
21年11月、難民救済に取り組む東京の認定NPO法人「REALs(リアルズ)」に一家の長女が救援を依頼。父親が獣医学者である縁で、県獣医師会長で動物病院を営む小澄さんに支援を検討してもらうよう声が掛かった。父親の就労が実現すれば在留資格が取得でき、日本への退避が可能。小澄さんは当面の間、自分の動物病院で父親に働いてもらった後、和牛に関する専門知識を生かせる職場にあっせんしたいと考えている。
一家用の住居は県内に確保できたが、日用品や家具・寝具などの調達、子どもたちの教育環境が課題となる。小澄さんの妻陽子さん(53)は「恐怖の中で逃げ惑い、心に傷を負った子どもたちのケアも必要」と指摘している。
一家は2月上旬にパキスタンに避難。滞在が2カ月を過ぎると、アフガニスタンに強制送還される可能性があるといい、小澄さんらは日本政府による早期の在留資格付与やビザ発給を求めている。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、岸田文雄首相は避難民の受け入れを表明したが、入国を認めたウクライナの避難民は12日時点で29人にとどまる。小澄さんは「難民に対する日本政府の対応は厳しい。個人でも受け入れができることを知ってもらい、社会全体の意識を変えていきたい」と訴えている。(臼杵大介)
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