「坂瀬川獅子舞」人口減少乗り越え復活 苓北に元気、世代超え親交深める 熊本

熊本日日新聞 | 2021年12月05日 07:35

10月にあった坂瀬川神社の秋祭りに合わせ、地域各所で舞を拾うする坂瀬川獅子舞保存会のメンバー=苓北町

 熊本県苓北町坂瀬川の住民が昨年、「坂瀬川獅子舞保存会」を結成し、人口減少で2014年を最後に途絶えていた獅子舞を復活させた。坂瀬川神社の秋祭りで行列の先頭を担ってきた獅子舞。新型コロナウイルス禍で、昨年に続き今年の秋祭りも神事のみで行列は中止されたが、保存会が地域の各所で獅子舞を披露し、住民たちを元気づけた。

 10月17日、坂瀬川小グラウンド。集まった住民約50人の前で、軽快な笛の音や太鼓踊りと共に、雌雄の獅子が威勢よく舞った。近くに住む女性(68)は「頭をかんでもらった」とにっこり。別の女性(69)も「お祭りに獅子舞はつきもの」と復活を喜んだ。

 保存会は、前日と合わせて2日間、坂瀬川の九つの地区の広場や公民館、事業所や保育園を回った。若手の舞手の一人、錦戸雅樹さん(34)は「練習はきついが、見てくれた人たちの拍手と笑顔がうれしい」。

 保存会によると、坂瀬川の獅子舞は1935(昭和10)年の秋祭りに奉納したのが始まり。当時の沈滞した不況ムードを一掃したいと、氏子総代会議で持ち上がった。人口が多かった和田区が担うことになり、苓北町富岡から師匠を招いて学んだという。

 その後約80年、和田区で受け継いできたが、若者の減少で継続が困難に。しかし「また獅子舞を見たい」という声は根強く、坂瀬川全体で担い手を募ることにし、昨年4月に保存会を発足。昨秋、6年ぶりに復活を遂げた。現在、20~60代の男女28人が活動する。

 和田区で20歳から参加してきた、保存会長の宮崎宗晴さん(62)は「昨年久しぶりに獅子舞を見て涙を流した高齢の方もいた。地域の人たちは待ち望んでいたんだと思った」。同じく和田区で、保存会事務局を務める池崎精二さん(53)も「途絶えていた間は寂しかった」と振り返り、「今年も和田以外から若手が3人入った。一生懸命練習して立派に人前で舞えるようになった」と喜ぶ。

 復活以降、小学校での講話や昨年7月に豪雨被害を受けた八代市坂本町で披露。コロナ禍で実現しなかったが、結婚式で舞ってほしいとの依頼もあったという。今後、子どもたちへの伝承活動にも力を入れたい考えだ。

 宮崎さんらは「獅子舞を通じて地区や世代を超えて親交を深め、強いつながりもできる。地域の活性化につなげたい」と張り切っている。(平井智子)

獅子に頭をかんでもらう住民ら

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