熊本市、北区だけにシンボル花 なぜ? 公募で決定 合併で“消滅”の花も

熊本日日新聞 | 2021年10月18日 19:16

熊本市北区の「花」として親しまれるヒマワリ=同区の菱形校区(同区役所提供)

 熊日の「SNSこちら編集局」(S編)に「熊本市北区の花がヒマワリと知りました。他の区にシンボルの花はないの?」との声が寄せられた。調べてみると、同市の市花に肥後ツバキが選定されているが、北区以外の区にはない。シンボル選定の経緯を調べた。

 S編に声を寄せた団体職員の磯川多香子さん(56)=東区=は「住んでいる地区の象徴があるのは良いですね。北区がうらやましい」と話し、「東区だったら、東稜高の並木のモクレンかな」と思いを巡らせた。

 2012年に熊本市が政令指定都市に移行し、五つの行政区に区分。北区は翌13年、区民からシンボルとなる花を募集した。同区総務企画課は「区内にシンボルの花を咲かせ、住民の一体感を醸成したかった」と狙いを説明する。

 42人からアジサイやコスモスなど26種の候補が寄せられ「明るいイメージが北区の将来にぴったり」「育てやすく親しみがある」などの理由で、同区まちづくり懇話会がヒマワリに決めた。以降、北区は町内自治会や小中学生などに毎春、種を配布。14年からは区内の小学生を対象に、ヒマワリをテーマにした絵画コンクール「ゴッホを探せ!」を開催し、毎年1200点ほどの応募があるという。

 同区役所フェイスブックは区内のヒマワリ開花情報を配信しており、「孫と一緒に楽しみたい」と開花場所の問い合わせがあることも。同課は「区内のあちこちに咲くヒマワリに親しんでもらえれば」とアピールする。

 自治体が花などのシンボルを選定する意義について、自由学園最高学部(大学部)の吉川慎平准教授(34)は「環境破壊が社会問題となり、自然保護が叫ばれるようになった1970年代以降、緑化運動の一環として選定する自治体が増えた」と分析。「さまざまなシンボルは歩道のタイルやマンホールのふた、観光案内板などに利用されており、住民に認知されやすい」と指摘する。

 吉川准教授らは2017年に全国の1916市区町村で選定されるシンボルを調査。その結果「花」が1745自治体、「木」が1716自治体で選定されており、花と木が拮抗[きっこう]していた。

 一方、平成の大合併で、旧自治体のシンボルが“消滅”する事態も起きている。熊本市と合併した旧植木町の花はスイセンだったが、北区には引き継がれなかった。当時の会議録をひもとくと、「目立たず地味で、遠くから見えにくい」が理由だったらしい。

 同じく同市と合併した旧富合町と旧城南町の花はキクだったが、南区はシンボルを設けていない。合併まで富合町長を務めた村崎秀さん(83)は「合併時に“大きな話”は引き継いだが、小さなことまで手が回らなかった。今となっては後の祭り。町で盛んに育てられていた花だけに、残念で寂しい」と漏らした。(鬼束実里)

熊本市の市花「肥後ツバキ」を描いたマンホールのふた=中央区の下通アーケード

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