不祥事次から次に…改善なく迷走 くまもと県北病院、市民は不信感

熊本日日新聞 | 2021年07月14日 11:00

3月に開業したくまもと県北病院。相次ぐ不祥事に、市民らは不信感を募らせる=玉名市

 熊本県北地域の拠点病院として3月に開業したくまもと県北病院(玉名市)の相次ぐ不祥事に、厳しい視線が注がれている。熊本大病院(熊本市)との連携で都市部と同等の最新医療が受けられるとの触れ込みだったが、前身の公立病院時代から問題視されていた甘い管理体制が改善されない状況に、市民らは不信感を募らせている。

 「不祥事が続き、市民は病院の自浄能力を疑問視している」「報告を聞く度に問題が増えている。責任感を持ってほしい」

 6月末、同病院であった病院設立組合議会の全員協議会。組合議員として出席した玉東町議や玉名市議からは、経営陣の管理能力を厳しく問う意見が相次いだ。

 県北病院は、地域の医師会立病院として発足した玉名地域保健医療センターと、玉名市と玉東町の自治体病院として機能してきた公立玉名中央病院(いずれも玉名市)を統合して新設。地方独立行政法人「くまもと県北病院」が運営し、熊本大病院副院長などを歴任した山下康行氏が理事長を務める。

 統合前の玉名中央病院では、診療報酬の過大受給や職員の時間外労働、前理事長による研究費の私的流用などの問題が続発してきた。今年2月には、30代男性医師が処方箋を偽造して向精神薬を不正入手していた問題が浮上。新病院開業後の4月に当該医師を昇格させていたことが明るみに出ると、5月に昇格を取り消すとともに懲戒処分を発表するなど迷走ぶりが際立った。

 その後も、病院敷地内で医師が喫煙していたことが外部からの通報で判明。開設に向け準備していた禁煙外来の設置延期と、喫煙した医師2人の処分(6月)に追い込まれた。

 県北病院設立組合設置者の玉名市と玉東町は、直接病院経営には携わらず、組合議会での経営計画の議決、理事長の任命などを通じて間接的に関与する仕組み。組合長を務める蔵原隆浩・玉名市長は先の組合議会定例会で「現状では組織としての体を成していない。病院としての信頼が損なわれている」と厳しく批判した。

 管理能力を問われた山下理事長は「十分でなかった点があり、深く反省している」「私たち医療側の考えが、(外部で言う)『普通』ではないことが多々あると痛感した」などと釈明。弁護士などでつくる第三者委員会の設置を検討する、と組合議会で表明した。

 旧病院時代から通院しているという同市の主婦(45)は「開業してからまだ数カ月なのに問題続き。通院先を変えようかとも思う」と不信感を隠さない。組合議員からは「9月の任期満了時には理事長の交代が必要」などと経営陣の抜本的な刷新を求める声も強まっている。(丸山伸太郎)

 ◆くまもと県北病院 2013年、県有明保健所管内で唯一の地域災害拠点病院だった公立玉名中央病院が耐震基準を満たさないことが判明。県北地域の医療体制見直しと合わせた協議で、玉名地域保健医療センターとの統合が決まった。20年度は玉名市と玉東町が運営費などとして約6億3千万円を負担した。総事業費は178億円。病床数は402。

記事アクセスランキング

  1. ${ranking.title}

※アクセス数(24時間以内)を元に集計

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube
  • note