「こどもの日」 変化に気付き安心守ろう

05月05日 09:13

 子どもの人格を重んじ、幸福をはかる-。祝日法の「こどもの日」の理念はそう定められているが、長引く新型コロナウイルス禍によって、子どもたちの安全や安心は脅かされているのではないか。

 昨年春の一斉休校に始まり、学校などでは恒例の行事や大会の中止が相次いだ。この大型連休にも外出自粛が呼び掛けられ、子どもたちは当たり前の学びや育ちの機会を失ってきた。一方、経済状況の悪化や外出自粛で、多くの保護者も不安やストレスを抱えている。

 そうした環境の変化を受けてか、子どもの自殺、虐待、貧困といった問題が、目立って深刻化している。

 子どもたちを守るのは、言うまでもなく大人の役割である。小さな変化に目を凝らし、子どもたちの不安や危険を取り除かなければならない。大型連休などの休暇明けは、とりわけ注意が必要になる。子どもの気持ちに寄り添い、話に耳を傾け、場合によっては登校などを無理強いしないように心掛けたい。

 警察庁のまとめによると、2020年の小中高生の自殺者数は過去最多の499人に上り、前年より100人増えた。月別にみると1~4月には前年とほぼ同水準だったが、学校が再開した5月から前年を上回り、8月の増え幅が最も大きかった。

 小学4年生から高校生まで全国700人余りを対象とした国立成育医療研究センターの調査(昨年11~12月)では、4人に1人が「死にたくなることがある」と回答した。

 保護者などによる児童虐待も目立ち、全国の警察は昨年、過去最多の2133件を摘発。虐待された疑いで警察から児童相談所に通告された子どもも初めて10万人を超えた。特に3~5月の通告が増えていることから、一斉休校や最初の緊急事態宣言との関連が指摘されている。

 コロナ禍は多くの解雇や雇い止めを引き起こし、家計を直撃。特に女性の非正規雇用は厳しく、ひとり親世帯の中には収入減で子どもの体重が減ったケースも報告された。経済的苦境から子どもを守るには、家庭を丸ごと援助する必要があるが、支援が十分届いているとは言えないのが現状だ。

 菅義偉首相は、子どもに関する施策の司令塔となる「こども庁」の創設を打ち出している。少子化対策や教育なども含め、山積する課題に正面から向き合う姿勢は評価できるが、行政組織の見直しが先行しているのが気掛かりだ。それよりも必要な政策を議論するのが先だろう。

 国連の子どもの権利条約は、子どもの「生きる」「育つ」「守られる」権利に加え、「参加する」権利をうたっている。権利の保障を目指す小中高生らの団体は、こども庁創設にあたって「子どもの意見を反映してほしい」と訴えている。そうした声に耳を傾けることが、子ども本位の組織づくりの第一歩になるはずだ。

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