40年超原発再稼働 課題抱えたままの「延命」

04月30日 09:11

 福井県の杉本達治知事が28日、運転開始から40年を超えた関西電力の美浜原発3号機(同県美浜町)と高浜原発1、2号機(同県高浜町)の再稼働に同意した。

 原発の運転期間を原則40年と定めたルール下で初の延長運転が確実となったが、安全性や使用済み核燃料の行き先など、多くの課題を抱えたままでの「延命」措置である。このまま進めることには、疑問を持たざるを得ない。

 40年ルールは、東京電力福島第1原発事故を受けて、稼働原発の安全性向上のために定められた。一方で、原子力規制委員会による審査に合格すれば、20年を上限に1回だけ延長できる例外規定もあり、今回はこれが適用された。

 関電は蒸気発生器など主要設備を交換。交換できない原子炉圧力容器も含めて、規制委は再稼働に問題はないと判断した。

 しかし、放射線の影響などにより原子炉圧力容器は経年劣化が進んでいる可能性がある。設計が古いことのリスクもあり、「炉心溶融のような事故が起きた場合、古い炉は対処が難しくなる」と、規制委の更田豊志委員長自身が指摘している。

 また、福井県は使用済み核燃料について、県外での中間貯蔵施設の候補地提示を関電に求めていたが、実現していない。このほか、避難計画の実効性や関電役員らによる金品受領からの信頼回復などの問題も残されている中、40年超原発1カ所当たり最大25億円の交付金を支払うという国の地域振興策の提示と引き換えに、多くの課題を棚上げにしての同意となった。

 国が40年超原発の再稼働を後押しする背景には、2050年までに国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにするとの方針がある。

 今月には、30年度に温室効果ガスを13年度比で46%削減する目標も発表したが、現在のエネルギー基本計画では、30年度には国内総発電量の2割程度を、二酸化炭素を排出しない原発でまかなう方針。しかし19年度の電源構成比は速報値で、原発が6%。原発の新増設が困難な状況下で、与党内などには、40年超原発の再稼働への期待感が強かった。

 電力業界にとっても、原発の運転期間の延長は、コスト削減などでのメリットが大きい。九州電力は福井県の同意発表と同日に、24年以降に運転開始から40年を迎える川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)について、運転延長の検討を行う考えを示した。

 業界全体でこうした動きが広がることが予想されるが、あくまで「例外的措置」と国が説明してきた運転延長である。このまま福島第1原発事故を教訓とした40年ルールが形骸化していくことに、国民の理解は得られるだろうか。

 重大事故が起きれば広域的に被害が及ぶ原発で、立地自治体の意向だけで同意が担保されることにも疑問がある。今後のエネルギー戦略で、原発は必要なのか。改めて国民的論議を行った上で、40年超原発の再稼働も考えるべきだ。

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