過去の大地震教訓に備えを 愛知の元住職、2度経験

共同通信 2025年1月29日 04:11
 昭和東南海地震と三河地震の経験を語る了願寺元住職の本田真哉さん=10日、愛知県東浦町
 昭和東南海地震と三河地震の経験を語る了願寺元住職の本田真哉さん=10日、愛知県東浦町

 太平洋戦争末期、愛知県東浦町にある寺の元住職本田真哉さん(88)は、2度の大地震を経験した。報道管制が敷かれ「隠された地震」とも言われる、昭和東南海地震(1944年12月7日)と三河地震(45年1月13日)だ。発生から80年。南海トラフ地震への警戒感が高まる中、備えるよう訴えている。

 了願寺(東浦町)の住職の次男として生まれた。国民学校2年生で、昼食を終えて寺の庫裏で宿題に取りかかろうとした時、マグニチュード(M)7・9の昭和東南海地震が起きた。慌てて外に逃げると、高さ3メートルの石灯籠がそばに倒れてきて、命を落としかけた。余震が続き、復旧もままならない中、さらに三河地震(M6・8)が発生、本堂が傾いて瓦屋根が落ちた。

 学校で、先生から地震についての説明はなかった。「戦意を下げるような後ろ向きなことは言えなかったのではないか」。報道管制下で、詳しい被害状況も伝わってこなかった。

 戦後、住職を継いだ本田さんは、集まった檀家らに説く法話の中で、戦争や地震の被災経験も伝えた。地震の予備知識がなく慌てることしかできなかった反省を踏まえ、日頃から防災意識を持つよう呼びかけてきた。

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