AIリスクに「雇用代替」追加 政府の事業者向け指針、対策促す
政府はAIに関する事業者向け指針について、技術進化や普及に伴うリスクの記載を拡充する検討に入った。どのようなリスクがあるのか認識を共有し、事業者に配慮や適切な開発を促す狙い。複数の関係者が27日、明らかにした。従来の仕事がAIに置き換わる「雇用の代替」のほか「過度な依存」といった項目を新たに盛り込む。3月末までの更新を目指す。
指針はAI開発や提供の考え方を示した「AI事業者ガイドライン」。政府が昨年整備した。法的拘束力はないものの企業が社内の運用ルールなどに反映させている。
指針にはリスクの具体的な事例も載せる。雇用に関しては「全世界で3億人分のフルタイム業務がAIに代替される可能性があるとされている」と言及する。過度な依存では、人材の採用活動で人の判断を介さないほどAIを使うことなどを挙げる。AIを用いたチャットへの精神的な依存にも触れる。
AIによって生じた損害への賠償金などを含む「金銭的損失」、AI運用に欠かせない豊富なデータや計算資源を扱える企業・国への「権力や富の集中」も加える。