カスミソウの花束 作・緑川みどり <くまにち童話>

熊本日日新聞 2025年1月24日 17:00

 「うーん。どれがいいかなあ」

 はなまえで、まりちゃんがなやんでいます。まりちゃんのおかあさんはいまにゅういんしています。今日きょうはおとうさんといっしょにおいにくのです。そしてこのはおかあさんのたんじょう。おかあさんにおはなをあげたくて、はなてみたものの、どのおはながいいかとてもめられないようです。

 「いらっしゃいませ」。はなおくから、てんいんさんがまりちゃんにこえをかけました。まりちゃんは、おかあさんにどんなおはなをあげたらいいのかからないことをてんいんさんにつたえました。てんいんさんはうなずいて、「ちょっとっててね」とうと、みせなかあるまわはじめました。

 おかあさんがにゅういんしてからというもの、まりちゃんはこころなかおおきなあんってごしていました。でも、今日きょうはおかあさんのたんじょうです。いっしょにおいわいしたいのです。

 「これなんかどうかな」。てんいんさんは、まりちゃんにひとつのはなたばしました。それは、いろとりどりのカスミソウのはなたばでした。ピンクにいろあおみどりのカスミソウもあります。まりちゃんは、はじめてるカラフルなカスミソウにりました。

 「きれい。このカスミソウのはなたば、おかあさんがたらおどろくだろうなあ」。てんいんさんは「うん。いまはいろいろないろのカスミソウがあるのよ」「とってもすてき」。まりちゃんのかおにほんのりがおがうかびました。きっとおかあさんもよろこんでくれる。まりちゃんのこころなかにあったあんは、すこしだけわくわくにわりました。

 まりちゃんはてんいんさんにおれいうと、おとうさんといっしょにおかあさんのにゅういんしているびょういんへとかいました。このはなたばをあげたら、きっとげんになってくれる。そして、おかあさんがはやくうちへかえってられますように。そうねがいながら、まりちゃんはくるまなかはなたばをそっとめていました。

 エレベーターは5かいまりました。とびらひらきます。まりちゃんはしたいちをおさえながら、いっずつおかあさんのいるびょうしつかってあるいてきました。カスミソウのはなたばむねに。(さくしゃさとまち・パート・45さい

絵・西小路修一
絵・西小路修一

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