サイバー法案、年内見送りへ 首相交代で設計議論停滞
サイバー攻撃に先手を打って被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」に関し、年内の関連法案提出が見送られる方向となった。政府関係者が3日明らかにした。政府は有識者会議を設置し、制度設計を進めてきたものの、岸田文雄前首相の退陣で議論が停滞。交代した石破茂首相は衆院選の与党過半数割れを受けて苦しい政権運営を余儀なくされており、経済対策を巡る与野党協議に力を入れざるを得ない状況に陥っている。
能動的サイバー防御は、攻撃情報を検知するため監視を強化、相手側サーバーに入り込み、攻撃を無力化する対応。憲法21条が規定する「通信の秘密」や不正アクセス禁止法といった現行法との整合性が課題に挙がる。
6月に始まった政府有識者会議では、法的課題を整理して秋の臨時国会に法案を提出するスケジュールを描いていた。ただ8月6日に中間整理をまとめた直後の同14日、岸田氏が自民党総裁選への出馬見送りを表明。以降、会議は開かれずに足踏み状態が続いている。
防衛相経験者は「法案提出は早くて来年の通常国会だ」と指摘している。
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