好きな熊本弁 「あとぜき」断トツ1位 えっ!? 鹿児島では別の意味に

熊本日日新聞 | 2020年12月07日 14:06

熊本地震の直後、避難所となった中学校体育館の入り口に張られた「あとぜき」の貼り紙=2016年4月21日、熊本市中央区の江南中(横井誠)

 熊日SNSこちら編集局が実施した「熊本弁検定」のアンケートで、「一番好きな熊本弁は何か」と尋ねたところ、「ドア・ふすま・障子など、開けたあとに閉めること」(熊本県方言辞典)の意味の『あとぜき』が1位となった。2位は『むしゃんよか(格好いい)』、3位は『むぞらしか(かわいい)』だった。

 498人が選んだ『あとぜき』は、年代別の20~60代、男女別でも1位。県内では部屋の出入り口などに貼り紙を見掛ける一般的な言葉だが、「高校生の時、熊本弁だと知り衝撃を受けた」(熊本市・50代女性)などの声が相次いだ。「熊本弁でしか、この意味を表現できない」(同・70歳以上男性)との意見もあった。

 2位『むしゃんよか』(233人)は、「むしゃんよかが、格好よかって言われた」(甲佐町・19歳以下男性)などと語感も人気の理由。3位『むぞらしか(かわいい)』(198人)は「むぞか、もぞらしか、みじょか」など同類の方言が多く、合計で順位を上げた。

 4位は『とっとっと(取っているの)』(196人)で、70歳以上では1位だった。5位は『まうごつ(大変、非常に)』(180人)で、「はうごつ、だごんごつ、なばんごつ」など、同じ用途の言葉と合わせてランクインした。

 このほか、6位『がまだす(よく働く)』、7位は『ぎゃん(このように)』と『ばっ(わあ!)』、9位『どぎゃん(どう、どんなに)』、10位『やおいかん(大変だ、手ごわい)』だった。

 同検定は10月20日~11月30日に実施。県民や県出身者らを中心に7241人が参加した。(岩下勉)

◆熊本「開けたあとに閉めること」 鹿児島「思い出して胸がどきどき」

 熊本弁検定のアンケートで、好きな熊本弁の1位になった『あとぜき』は、一部辞典に熊本の方言ではなく、鹿児島県などの一部地域の方言として掲載されており、意味もまったく異なる。

 日本国語大辞典(小学館)によると、『あとぜき』は鹿児島県肝属郡と宮崎県東諸県郡の方言で、「過去にあった危急の事態などを思い出して胸がどきどきすること」とされている。

 全国の記事データベースで『あとぜき』を検索すると、10社66件(うち熊日が43件)が該当するが、すべて熊本県の方言として紹介した記事で、宮崎、鹿児島両県の方言は見当たらない。

 本当に『あとぜき』が使われているのか、両地域の役場などを取材。宮崎県内での使用は確認できなかったが、鹿児島県肝付町のふるさと案内人・渡会実[わたらいみのる]さん(61)は「『あとぜき』は使いますよ。意味は辞典にある通りです」と教えてくれた。

 渡会さんに熊本では「戸などを開けた後に閉めること」の意味だと伝えると、意味の違いに驚いていた。(岩下勉)

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