福井港沖の遺体は喜三翼音さん　輪島中３年、父「おかえり」

　福井海上保安署は３日、福井港沖で９月３０日に見つかった女性遺体の身元が、ＤＮＡ型鑑定の結果、石川県能登地方の記録的豪雨で連絡が取れなくなっていた輪島市の中学３年喜三翼音さん（１４）と判明したと明らかにした。共同通信の集計で、豪雨の死者は１４人になった。

　連絡を受けた父鷹也さん（４２）は取材に対し、翼音さんにかけたい言葉を尋ねられ、しばらく考えた後で「『おかえり』ですね」と答えた。「（１０月１日に）服を確認した時に、１００％間違いないと思っていた。とにかく見つかってほっとした」とも語った。

　鷹也さんは、豪雨で自宅に取り残された翼音さんとＬＩＮＥ（ライン）でビデオ通話をした際、けがを防ぐためにと長袖長ズボンを着用するよう伝えた。遺体の着衣は鷹也さんが言った通りで、ジャージーには手書きで「喜三」と書いてあった。

　海保によると、遺体は輪島市から約１７０キロ離れた福井港沖合で、付近を航行していた漁船が発見。死因は気道閉塞による窒息だった。

　翼音さんは９月２１日午前、輪島市久手川町の自宅に１人でいたところ、連絡が取れなくなった。