熊本県内の教員、127人足りず 2024年度 団塊世代の退職、支援学級の増加が背景
熊本県内の公立小中高校と特別支援学校の2024年度の教員数が、5月1日時点で本来必要な人数に対して計127人足りていないことが22日、県と熊本市の両教育委員会への取材で分かった。21~23年度も135~131人が不足しており、深刻な教員不足が続いている。
県教委の不足分は前年度と同じ110人。内訳は小学校が前年度比1人増の37人、中学校が2人増の33人、高校が3人増の27人、特別支援学校が6人減の13人。熊本市教委の不足分は前年度より4人少ない17人。内訳は小学校が7人減の10人、中学校が5人増の7人。高校は2人減り、不足が解消した。
両教委は教員不足の主な理由について、①団塊世代の教員の大量退職②臨時採用講師(臨採)の正規採用が進むことで、臨採の全体数が減少③特別支援学級の増加-と分析している。
教員が足りない学校では、専科教員や主幹教諭、教頭が本来の役割ではない担任を務めるなど業務の負担増が懸念される。
両教委は教員確保の取り組みとして、教員採用試験での特別選考の拡大や教員免許を持ちながら教壇に立っていない「ペーパーティーチャー」向け講習会の実施、教員を目指す学生と若手教員との交流会の開催などを挙げる。
県教委学校人事課は「全国的に臨採を取り合う状況になっていて、すぐに不足を解消するのは難しい。他県の事例も参考にして対策を地道に続けていく」と説明する。大学生らを雇用して学校現場を支援してもらう事業を実施する市教委教職員課は「新卒の志願者を増やす取り組みにも力を入れていく」との考えだ。
各校の教員数は、学級数や学校の規模などによって決まる「基礎定数」と、少人数指導や特別な配慮が必要な生徒への指導のために文部科学省が各都道府県に配分する「加配定数」で決まる。文科省は「無用な臆測を招きかねない」として、加配定数の配分の内訳を公表していない。(後藤幸樹)
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