「骨なし灯籠」上映半年、広がる共感 神戸、名古屋でも公開 ロケ地山鹿を訪れる人も
山鹿市の山鹿灯籠まつりを題材にした映画「骨なし灯籠」の先行上映が県内で始まって半年。口コミで人気を集め、異例のロングラン上映となった。作品は妻を亡くした元美術教師が山鹿灯籠と出合い、自らの生き方を見つめ直す再生の物語。地元山鹿市や県外でも公開が進み、共感の輪が広がっている。
7日から3日間、山鹿市の市民交流センターで1日3回、「骨なし灯籠」の上映があった。脚本・監督を務めた木庭撫子[なでしこ]さん(56)=同市=は毎回舞台に立ち、こうあいさつした。「山鹿の人に喜んでもらえる映画を作りたかった」。会場から拍手が起こった。
木庭さんは2021年、夫の民夫さん(66)と東京から移住。映画は翌年夏、豊前街道や菊池川などで2週間かけて撮影した。今回の上映会で2日続けて観賞した女性(53)は「見る人によって感じ方が違ってくる、深みのある作品。山鹿の風景もきれいだった」と余韻に浸った。
熊本市の「Denkikan」で先行上映が始まったのは3月22日。当初は約2週間の予定だったが、8月15日まで延長され、観客動員は5800人に上った。地元での好調ぶりを受け神戸市のシネコンからも上映の申し出があり、7月末までの約1カ月間に1500人が来場した。
映画は山鹿市のPRにも一役買っている。同市の観光ボランティアガイド、日高正人さん(78)は「映画がきっかけで山鹿を訪れたという人も多い」という。この夏はロケ地の一つ、山鹿灯籠民芸館もにぎわった。「神戸から女性3人組が来館され、もう一度映画が見たいと熊本市行きのバスに飛び乗られた」とスタッフの芹川恵さん(68)。
10月には名古屋市、11月には天草市での上映も決定。ただ目標とする東京での公開予定はない。配給会社もついておらず、映画館に直接かけあっても「門前払い」が続いているのが現状だ。それでも木庭さんは前を向く。「この半年間で手応えを感じた。多くの人に見てもらい、東京での上映を実現させたい」(本田清悟)
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