空き家「活用」の補助金利用が低調 立地要件や改修費用がネックに 使用目的ない物件、熊本県内で増加
空き家のうち、賃貸や売却、別荘といった使用目的のない物件が熊本県内で増えている。総務省の調査で2023年(速報値)は6万5400戸と、18年の前回調査から約千戸増加した。空き家対策は市町村が主体的に取り組み、県は補助金の交付などで活用を支援しているが、要件や改修費用などがネックとなり、補助金の活用は進んでいない。
使用目的のない空き家は、居住世帯が長期間不在だったり、取り壊しを予定していたりする物件。放置が続けば劣化して倒壊する恐れがあるほか、公衆衛生や景観面でも問題がある。調査によると、23年は県内の空き家(12万7500戸)の半数を占めた。総住宅数のうち使用目的のない空き家の割合は7・7%で、全国平均(5・9%)より高かった。
県の補助事業は16年度に始まった。市町村や民間事業者を対象に、地域活性化を目的とした宿泊施設や交流施設、移住者用の賃貸住宅などへの改修を支援する。市町村が実施する場合、国と県が4分の3を補助。民間主体であれば国、県、市町村が3分の2を負担する。上限額はない。
南阿蘇村はこの事業を活用して空き家2戸を改修した。21年度には築50年近い木造平屋を954万円でお試し移住用の住宅に変えた。村によると、23年度は30件(計281日)の利用があり、これまで7世帯が実際に移住した。担当者は「お試し移住の施設があることで、村に関心を持ってもらうきっかけにもなっている」と手応えを語る。
ただ、補助金の活用は進んでいない。県によると、これまでの補助実績は南阿蘇村、多良木町、錦町、南小国町、美里町の5町村の計7件にとどまる。いずれも移住者や検討中の人に貸し出す施設などとして使われている。民間からの申請はまだない。
空き家が地域の中心的な集落にあるといった要件に合致する必要があるほか、改修費用に見合う利用が見込める物件を見つけることも容易ではないという。市町村が改修する場合は、借り上げなど所有者との交渉も必要となる。
市町村の担当者は「耐震補強などの改修費用に加え、築年数が経過していれば管理コストもかかる。新築した方が安くなる場合がある」と話す。
県住宅課は「事例はまだ少ないが、移住定住など地域活性化にもつながる。積極的に活用してもらいたい」と話している。(川野千尋)
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