【独自】井関農機、熊本県益城町のコンバイン工場を25年末閉鎖へ 国内生産拠点再編で
農業機械メーカー大手の井関農機(愛媛県)が、熊本県益城町にある生産子会社の工場を2025年末に閉鎖する方針であることが29日、分かった。生産効率化に向けた国内拠点再編の一環で、愛媛県松山市の工場に生産設備を集約する。従業員については、グループ内での配置転換や再就職支援を進める。
井関農機は、グループの生産子会社だった井関松山製造所(松山市)と井関熊本製造所(益城町)を合併し、今月1日に「ISEKI M&D」(松山市)に社名を変更した。関係者によると、今月20日ごろ、熊本県と益城町に工場閉鎖の方針が伝わったという。
工場は益城町安永にあり、1975年に操業を始めた。県道熊本益城大津線(第二空港線)沿いで、敷地面積は約21・7ヘクタールに上る。現在はグループの基幹工場として、稲や麦の刈り取り・脱穀に使われるコンバインや、野菜の収穫機などを製造している。生産終了後の2026年に組み立てラインを移管させる予定で、跡地については売却を含め検討中という。
井関農機が生産拠点の再編に踏み切る背景には、農業従事者の減少や農機の共同購入の浸透に伴う農機の国内市場の縮小があるとみられる。日本農業機械工業会の統計では、23年のコンバインの生産金額は約689億円で、10年前に比べて2割強減った。
益城町の工場の従業員は23年12月時点で、非正規の115人を含む262人。井関農機のIR・広報室は「製品の生産終了と拠点の再編は事実だが、閉鎖は正式決定していない」と説明。従業員の配置転換などの条件については「労働組合と協議中だが、再就職を希望する人には関係機関と連携して支援する」としている。
井関農機は1926年創立の国内3位の農機メーカー。2023年12月期の連結売上高は1699億円。(立石真一、馬場正広)
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