「若者は年金もらえない」そのイメージ、本当ですか? 働く女性や高齢者が増えて年金財政は好転 不安材料は出生率 議論は制度改正へ【まね得 どうなる年金・後編】
この5年の間に年金財政は好転しました。働く女性や高齢者が増え、保険料を納める人つまり年金の支え手が増えたからです。今20歳の男女が将来受け取る年金って、物価水準をそろえた上で平均額を見ると、今の65歳より多い試算だって知ってました? 実は「就職氷河期世代」の方が厳しかったりします。あなたの年金イメージ、アップデートしませんか。(太路秀紀)
どうなる年金⑥ 働く女性や高齢者増で財政好転
5年に1度の健康診断に当たる今回の財政検証では、年金制度は「5年前より少し健康になった」と紹介しました。要因があります。大きかったのは働く女性や高齢者が増えたため、年金の保険料を納める人が増えたことです。
厚生年金の保険料を納める人(被保険者)は、5年前の健診時の推計では2023年度に4425万人との見通しでした。これが実績では4683万人と260万人近く上回っています。
一方で、会社員や公務員の扶養配偶者として年金に加入する第3号被保険者が、実績は701万人と、見通しを60万人強下回りました。年金の支え手が増え、扶養される人が減った形です。
これにより23年度の保険料収入は見通しを6000億円上回る41.6兆円に。これに対して年金給付などの支出は、見通しを1.3兆円下回ったため、5年前は赤字で貯金(積立金)に手を付ける必要があった収支が黒字に転換しています。
積立金の残高も増えました。23年度末で290兆円強と、見込みを70兆円上回っています。積立金は市場で運用していますが、近年の株高などで運用収入が伸びたためです。
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