熊本市電の「顔パス」決済導入見送り 実証実験もニーズ低く、費用高額
熊本市交通局は、熊本市電で実証実験をしていた顔認証による運賃支払いの導入を見送ると決めた。乗客のニーズが低く、導入費用が高額であることなどから判断した。23日、市議会特別委員会に報告した。
実証実験は2023年12月から今年3月にかけ一部車両で実施。決済機能を持つスマートフォンアプリに顔の画像を登録し、降車時に車内のタブレット端末に顔をかざすことで、「顔パス」で運賃を支払うことができた。
実証実験の結果、登録者数は401人、利用件数は228件にとどまった。市交通局が23年度のアンケートで、本格導入後に利用したいかどうかを尋ねたところ、「思わない」が66%だった。「既に利用できる方法で十分」「顔認証に抵抗がある」との意見が多く、乗客のニーズが低いと判断した。
費用面でも、導入に6千万円、固定費が年間800万円かかるなど高額だった。支払いから降車までの時間は顔認証に必要な2秒を含め3・2秒かかり、現金やICカードよりも遅かった。実証実験の事業費は1500万円で、うち380万円を国の補助金で賄った。
また、市電の決済手段として全国交通系ICカードを廃止する方針に関し、市が三つのケースで試算した費用を説明した。全国ICを含む現行の決済システムを維持した場合の更新費用が約2億円、全国ICを廃止して新たな決済手段を導入した場合は約1億1千万円、全国ICが使える簡易型の端末を導入した場合は約1億9千万円になるとした。(山下雅文、臼杵大介)
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