ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(菊陽町)、フッ化水素排出量を国に「ゼロ」と誤報告 21~22年度「システム更新でデータ抜け落ちた」
スマートフォン向け画像センサーなどを生産するソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(菊陽町)は2日、半導体の製造に使う「フッ化水素」の2021年度と22年度の排出・移動量を「ゼロ」と誤って国に報告していたと明らかにした。システムの更新後にフッ化水素のデータが抜け落ち、担当者がそのまま、排出・移動がなかったと誤認したことが理由という。
ソニーセミコンは熊本日日新聞の取材に、実際の排出・移動量は「精査中」と答え、把握後に速やかに修正する意向を示した。フッ化水素の処理については「過年度分も含めて法令に従って適正に処理をしている」と説明した。
事業所で使われる有害性のある化学物質は、環境省が排出・移動状況をまとめて「PRTRインフォメーション」として、毎年度公表している。基礎となるデータは、関連企業が県などを通じて報告する。
ソニーセミコンは数種類の化学物質が対象となっている。フッ化水素の排出・移動量は20年度には約6万キログラムだったが、21、22年度はゼロとなっていた。
この日の県議会経済環境常任委員会で、立憲民主連合の鎌田聡氏(熊本市2区)が「2年、数字が出ていない。県はチェックしたのか」と指摘。廣畑昌章環境保全課長は「速やかに修正するよう指示した。県民が注目する物質がゼロになった経緯を調べておくべきだった」と答弁した。
ソニーセミコンは「地元住民や県などの関係者に大変なご迷惑とご心配をおかけした。今回の誤りを真摯[しんし]に受け止める」と再発防止に取り組む考えを強調した。(樋口琢郎、立石真一)
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