熊本電鉄、路線バス事業が10年ぶり営業黒字 コロナ禍から人流回復、沿線の人口増 「セミコンバス」利用も急増
熊本電気鉄道(熊本市)は17日、2024年3月期決算で路線バス事業の営業損益が10年ぶりに黒字転換したと明らかにした。新型コロナウイルス禍からの人流回復に加え、合志市や菊陽町など沿線自治体の人口増、さらに両市町にまたがる工業団地「セミコンテクノパーク」で走らせている通勤バスの利用者急増が後押しした。
路線バス事業の営業損益は、4300万円の黒字(前期は3800万円の赤字)となった。昨年10月の運賃値上げも寄与した。
バス輸送人員は、前期比10・8%増の355万人。コロナ禍前の19年度と比べると90・6%、下期だけでみると94・9%にまで回復した。熊本市中心部と合志市や菊陽町を結ぶ路線を中心に利用が活発になった。
菊陽町のJR原水駅とセミコンテクノパークを結ぶ「セミコン通勤バス」の輸送人員は約27万5000人で、前期に比べて65%増加。台湾積体電路製造(TSMC)の進出に伴う企業集積に伴い、通勤者らの利用が増えた。
鉄道事業の輸送人員も13・6%増加。沿線の人口増に伴う渋滞悪化を背景に、定時性に強みを持つ鉄道へのシフトが一部で進んだとみている。
これらの結果、24年3月期の全体の売上高は、前期比14・7%増の22億2100万円で3年連続の増収。純利益は6・4倍の4700万円で2年連続の黒字だった。
25年3月期も増収、増益を予想する。セミコン通勤バスの利用増や、合志市の御代志、辻久保の再開発による賃料収入を見込んでいる。中島敬髙社長は「鉄道会社における不動産事業の強みを最大限に発揮し、業績向上を図っていく」とした。(立石真一)
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