米朝高官協議 妥協のない非核化実現を

7月13日 09:05

 先月12日の歴史的な米朝首脳会談から1カ月がたった。しかし、共同声明に盛り込まれた北朝鮮の「完全な非核化」が進んでいるとはとても思えない。

 今月訪朝したポンペオ米国務長官は「前向きな会談だった」と強調した。だが、金正恩[キムジョンウン]朝鮮労働党委員長との会談は行われず、北朝鮮側は「一方的で強盗のような非核化要求だ」と米国側を強く非難した。

 こうした事態を招いたのは、共同声明が曖昧だったからにほかならない。米国側は「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」を主張していたが、声明では「朝鮮半島の完全非核化に向け努力する」にとどまった。

 北朝鮮側は「米国と相互の非核化」と、都合よく解釈している。非核化の詳細を詰めずに共同声明を急いだことが、北朝鮮の逃げ場を作ることになっているようだ。

 米国は北朝鮮に「安全の保証」を約束し、米韓合同軍事演習の中止のカードを早々と切ってしまった。北朝鮮は非核化を急ぐ必要はなくなり、むしろ米国の方に「手詰まり感」が漂っている。

 今回の協議について、外交筋は「目立った成果はなかったようだ」と明かす。米朝が合意したと報じられた作業部会設置に関し、日本政府高官は「ポンペオ氏はその話をしなかった。非核化交渉はそんなレベルに至っていないと思う」と指摘した。

 北朝鮮が、核をそう簡単に手放すとは思えない。11月の中間選挙をにらんで国内世論向けに対北朝鮮外交をアピールしたいトランプ大統領の思惑を考えれば、米本土に届く大陸間弾道弾(ICBM)さえ廃棄されれば、他の核問題を棚上げして関係改善に突き進む可能性もある。逆に、中間選挙後には再び軍事的な緊張に後戻りするというシナリオも想定可能だ。

 北朝鮮の非核化の成否は、日本の安全保障に直接関わる。もちろん、その後には「拉致問題の解決」も控えている。

 声明の取りまとめを急いだトランプ氏は、非核化協議を軌道に乗せるよう努める責任があるはずだ。日本はトランプ政権との結束をより強め、米国が妥協することなく北朝鮮の非核化を実現するよう粘り強く働き掛けるべきだ。