熊本の20代、政治への本音は…【2024年衆院選 20代・政治との距離ダイジェスト版】
熊日の若手記者が、さまざまな分野で奮闘する同世代の目を通して、暮らしと政治との距離感について等身大で考える「20代・政治との距離」。これまで率直な意見を語ってくれた20代の本音を、ダイジェスト版でお届けします。
◆子育て奮闘の主婦(26)の意見
─政治への関心は。
「さほどありません。裏金や世襲の話が多く、おじさんたちの権力争いの世界というイメージです」
─同世代とは政治の話をしますか。
「友人とはしませんが、夫とは少し話します。自民党総裁選の際には、まだまだ政治の世界は男性優位なのかな、と感じました。女性の社会進出は、まずは政治の世界で女性が増えないと進まないと思います」
─若者はなぜ政治に関心を示さないのでしょう。
「投票率が高い高齢者向けの政策が多いからだと思います。若者からすれば、誰が当選しても一緒だと感じてしまいそうです」
─どのような政策を望みますか。
「国民の状況を分かってほしい。不妊治療の保険適用拡大や、携帯電話料金の値下げが進んだときには、『分かってくれる人もいるな』と感じました」
「物価高の中で国民は多くの税金を払っています。扶養に入っている主婦などの年金額を見直す動きもありますが、扶養される人にも理由があることも理解してほしい。全ての若い世代が生き生きと働けるよう、政治の世界も世代交代が必要かな、とも思います」
◆菊池市の酪農家(25)の意見
-政治への関心は。
「酪農業は国の補償や支援に頼る場面が多いので、どの政党がどのような政策を掲げているのか、気になります」
-同世代とは政治の話をしますか。
「酪農や畜産に携わる同世代とはしますが、それ以外の友人は『誰が政治家になっても変わらない』と思っている人がほとんど。温度差を感じています」
-若者が政治に関心を示さないのはなぜでしょう。
「政治の恩恵を感じにくいので、『声を上げても意味がない』とあきらめていると思います。魅力的な政策で、生活の質が上がったと実感できれば、変わるのではないでしょうか」
-どのような政策を望みますか。
「高齢化や農地減少を理由に、離農者が相次いでいます。牛乳や肉を安定して市場に届けるには経営の大規模化と省力化は欠かせません。そのためには多額の費用が必要です。やる気ある若者が就農できるよう、積極的な支援を求めます」「周辺では半導体関連企業の進出や宅地開発で、農地を手放した人も少なくありません。区画整理などを進め、代替地を確保する必要があると思います」
◆熊本市の保育士(28)の意見
-投票に行きますか。
「選挙期間になると案内はがきが来るので、投票へは行っています。政治についてあまり知らない私が行っていいのかな、と思いながら」
-政治について、周囲の人と話しますか。
「正直、ほとんど話題になりません。日々、目の前の仕事や生活のことで精いっぱい。同僚との会話も、自然と子どもたちの様子が話題になります」
-保育士の処遇改善が求められています。
「今の生活には満足しています。給料や待遇よりも『子どもが好き』『保育の経験を積みたい』という自分の気持ちを第一に、仕事や職場を選んだからです」
「保育士を目指す学生に聞くと、免許を取っても企業に就職する子も多い。保育士は『きついけど給料が少ない』というイメージがあるようです。少しでも待遇が改善されて仲間が増えてほしいと思います」
-政治に望むことは。
「休日の公園などを見渡すと、スマホにくぎ付けの子どもが多いことに気付きます。育ちに影響が出ないか心配です。政治に望むというよりも、子どもが『本物』に触れられる社会であってほしいと思います」
◆熊本市の大学生2人の意見
─政治への関心は。
A「高い方ではありませんが、投票には行くようにしています。自民党総裁選では、どの候補がいいか家族と雑談していました」
B「私はありません。政治が『どうでもいい』とまでは思いませんが、特に興味はありません」
─同世代と政治の話をしますか。
A「話しません。政治に関心がある若者は、少数派だと思います」
B「私も。政治家が淡々と話す国会の雰囲気はつまらないと感じてしまい、親近感が湧きません」
─投票に行く若者が少ない理由は何でしょう。
A「自分の1票で社会が変わると思えないからでは。日本の学生は、気軽に政治について話す習慣がありませんし」
B「自分は選挙に関係ない、と考える若者は多い気がします」
─政治家に実現してほしい政策は何でしょうか。
A「経済政策に力を入れてほしいです。物価高で生活は苦しい。外食や買い物で物価高を実感します」
B「就活を支援してほしい。東京の会社説明会には地方から気軽に行けません。進路選択にも手を差し伸べてほしいと思います」
◆熊本市の建設会社の会社員(27)の意見
─投票に行ってますか。
「最近はあまり行っていません。『選挙あってたんだ』と終わって気付くこともあります。以前は『行かなんやろ』という義務感で投票していました。選挙公報を見て、面白そうだと思う人に投票していました」
─行かない理由は。
「新規事業を任され、かなり忙しくなったからです。ニュースはスマホで見ますが、仕事に関係する経営や採用についての記事がほとんど。政治や選挙の記事は目に入りません」
─どうすれば投票に行くようになりますか。
「オンライン投票の導入です。マイナンバーカードがこれだけ普及しているのに、実現できないものでしょうか」
「若い世代への情報の届け方も工夫が必要。SNSには個人の好みに沿った情報が多く出てきます。そんな状況に慣れている20代は『調べない世代』。各候補者の演説を動画配信するような、中立的なアカウントがあると良いと思います」
─関心がある政策は。
「人材不足を痛感しているので、少子化対策は気になります。物価高も感じますが、自分が頑張って稼げばいいので、国の政策はあまり気にしていません」
◆天草市の運送業者(27)の意見
-政治に関心はありますか。
「仕事や子育てに忙しく、ニュースを見る時間もありません。あまり関心がないのが正直なところです。自分を含め若い世代は、『誰が政治を担っても変わらない』と思っている人が多いのではないでしょうか。投票に行く人の方が、少ないのが現状だと思います。今の政治は、有権者の前で語っている政策を、実際に実現できているイメージがありません」
-どうしたら投票に行く人が増えるでしょうか。
「きちんと有言実行する政治家が必要です。自分たちの生活が変わった実感を持てれば、自然と投票に足が向くと思います」
「期日前投票は便利ですが、投票を受け付ける時間に問題があります。仕事が終わった夜に、投票できるようにしてほしい。オンラインで投票できれば、もっと便利だと思います」
-どのような政策を実行してほしいですか。
「運転手が思うように仕事をできなくなってしまった、物流業界が抱えている問題の解決です」
「子育て世帯への支援も充実させてほしい。自治体間で支援が異なる現状を、改善する必要があります」
◆熊本市の介護福祉士(20)の意見
─政治への関心は。
「デイサービスの送迎の際に候補者の演説を耳にしたり、ニュースで選挙の話題を見聞きしたりしますが、そこまで気に留めないので詳しく分かりません。休日は趣味の絵やゲームに没頭し、他のことが目に入らない感じです」
─投票には行きますか。
「行っています。若い人があまり投票しないと聞くので、行った方がいいのかなと思うからです。両親に誘われ、家族で行くこともあります。投票先は家族と話して決めます」
─主権者教育の印象は。
「公民の授業で選挙制度は習いましたが、模擬投票などは体験していません。選挙について学ぶ機会は少なかった印象です。『この候補者や政党を応援したら社会のここが変わる』と分かれば、応援する気持ちが湧くと思います」
─分かりにくいのはどんなところでしょう。
「それぞれの政党や候補者が掲げている政策が多く、考えるのが大変です。どこに目を付けていいか分かりません。しっかり調べれば、『これだ』と思える政党が見つかるかもしれませんが…。介護についてしっかりと訴えてくれたら、『応援したい』と感じるようになると思います」
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