「デスク」って何?
新聞社には「デスク」という職務があります。机上での仕事が多いことからついた呼び名と言われ、取材の指揮をとったり、記者が書いた原稿をチェックしたりします。
取材した記者には自明のことでも、書かれた原稿を読むデスクにはピンとこないこともあります。「主語は何?」「ここは意味がよう分からん」。取材記者とのこんなやりとりを経て、原稿は仕上がります。
人に何かを伝えようとするとき、自分が何を言いたいのか、本人には分かっています。ただ、それが他人にきちんと伝わるかどうかは別問題。「伝える」と「伝わる」は違います。新聞原稿もデスクに伝わって初めて〝合格〟です。
物事は傍(はた)から見た方がよく気付くという「岡目八目(おかめはちもく)」の例えや、室町時代の能役者・世阿弥(ぜあみ)の至言「離見(りけん)の見」(観客席から見る自分の姿を常に意識せよ)も同じ意味と言えます。
この第三者の視点を持つという姿勢は、仕事や勉強にも通じます。日常の心掛けとして、自分の中にデスクを住まわせてください。あなたのデスクは、あなたに忠告します。「その言い方、書き方で伝わると思う?」