
熊本赤十字病院(熊本市)などは19日、小型無人機ドローンを使って離島の熊本県天草市御所浦町へ医療物資を届ける実証実験をした。
交通手段が船舶に限られる御所浦地域に、輸血用の血液などを迅速に届ける体制をつくる狙い。上天草市龍ケ岳町にある中核病院の同市立上天草総合病院を発送側の拠点とし、直線距離で約6キロ離れた天草市立御所浦診療所に届ける。
ドローンは約3キロの物資を運ぶことが可能な中型タイプ。上天草総合病院の脇田富雄病院長が模擬血液などを積み込むと、あらかじめ設定した海上ルートを自動で運航。約7分の飛行で御所浦診療所近くのグラウンドに着陸し、待ち受けたスタッフが物資を受け取った。御所浦側からは、新型コロナウイルス感染疑いがあるとする模擬検体を送った。
ドローンの制御には、日本版の衛星利用測位システム(GPS)を担う準天頂衛星「みちびき」と、携帯電話基地局を使った測位サービスを併用。誤差が数センチ単位と、高い精度を保てることも確認した。
熊本赤十字病院の宮田昭副院長は「7月の豪雨では港に流木が集まり、船舶の運航が困難になるケースもあった。離島への医療物資輸送にドローンを活用できる体制を早急につくりたい」と話した。(赤池一光)