自民党大会 「けじめ」つける責任政党に

2月11日 09:27

 自民党は10日、党大会を開き、今年の統一地方選と参院選での勝利を目指して総力を挙げるとともに、憲法改正に向けて国民世論を呼び覚ますとした2019年運動方針を採択した。

 党総裁の安倍晋三首相は、アベノミクスによる景気回復を強調。「立党以来の悲願である憲法改正に取り組む時が来た。しっかり自衛隊を明記して、違憲論争に終止符を打とう」と呼び掛けた。

統計不正の解明を

 09年の政権転落から10年となる自民党だが、今年の運動方針からは、かつて国民の信頼を失ったことに対する言葉は消え、代わって政権の成果を誇り、「平成のその先へ 新たな時代を切り拓[ひら]く」といった前のめりの姿勢ばかりが目立った。

 安倍政権が真っ先に取り組むべきは、毎月勤労統計をはじめとする基幹統計の不正問題を解明することだろう。基幹統計は政策の企画、立案の基礎となるだけでなく、国民が政権の取り組みの成否をはかる物差しとなるからだ。

 一連の統計不正を巡り野党は、実質賃金の伸び率の大半がマイナスだったにもかかわらず、上昇したように見せかける「アベノミクス偽装」と批判している。安倍首相は「全然関係ない話」と否定するが、それを立証する調査には中立性に重大な疑義が生じている。

政権ただす役割も

 安倍政権では、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽[いんぺい]をはじめ、学校法人「森友学園」問題を巡る財務省による決裁文書改ざん、裁量労働制に関する不適切データなど、国民の信頼を大きく揺るがす失態が数多く露呈している。いずれのケースも、当事者は安倍政権からの指示や忖度[そんたく]を否定しているが、それならばなぜ同じような構図の不祥事が続くのか。疑問が拭えない。

 議院内閣制の下で与党は政権を生み出す基盤である。一方、三権分立の原則の下では、国会の多数派として政府を厳しく追及して導く使命も持っている。自民党が運動方針にあるような「責任政党」を自負するのであれば、国会で行政監視機能を十分に発揮し、その責任を果たすべきだろう。

 官僚の落ち度を問うだけで落着を図るようでは、とても責任政党とは言えまい。国民の納得が得られるようきちんとけじめをつけるべきだ。

 閣僚の失言や暴言への対応にも同じことが言えよう。麻生太郎副総理兼財務相は先日、地元の福岡県で支持者に少子高齢化を語る中で「子どもを産まない方が問題」と発言して批判を浴びた。翌日には撤回したが、麻生氏は14年にも同様の発言をするなど、問題発言を繰り返している。

 政権ナンバー2としての自覚を問う声も上がっているが、安倍首相は先の内閣改造でも同氏を留任させるなど反省の色はうかがえない。自民党の他の政治家からも度々暴言や問題発言が飛び出す。所属議員がそうした発言をしたら、厳正に対処するのが責任政党としてのあるべき姿だろう。

なくなった謙虚さ

 政権復帰後初めての党大会で示された13年運動方針では、直前の衆院選勝利について「民主党政権への不信任の意味合いが強く、必ずしもわが党の信頼回復を示すものではない」と分析。「信頼が戻ったと考えるならば、再び国民との絆を見失う」と謙虚な姿勢を示していた。

 その後も毎年のように「おごり」を戒め「謙虚」を心がける言葉があったが、今年の運動方針からは、政権運営を進める上での自戒の言葉が消えた。多弱の野党に助けられた1強状態の下で、内閣、自民党ともに謙虚さを失っているのではないか。いま一度政権奪還時の原点に立ち返り、国民の負託に応えてもらいたい。