地方創生 政策の検証が欠かせない

11月9日 09:37

 安倍政権が「最大のテーマ」と位置付ける地方創生は、2014年に石破茂元自民党幹事長が初代担当相を務めてから4年が経過した。しかし東京一極集中には歯止めがかからず、一向に成果は見えてこない。それどころか、「1億総活躍社会」「人づくり革命」といった看板の掛け替えが相次ぎ、政策の焦点はぼやける一方だ。

 14年末に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、20年を目途に5年間で地方に30万人分の若者(16~34歳)の雇用を創出するとした。同時に、東京圏への転入を20年時点で13年から6万人減らす一方、転出を4万人増やし、転入・転出者の均衡を図る数値目標を設定。その手段の一つとして、政府機関や民間の本社機能の地方移転を試みたが、現状をみる限り実現には程遠い。

 また、戦略では地方自治体に産業活性化といった地域戦略や再生計画の策定を求め、政府はこれまでに県内を含め、まちづくりや移住・定住促進といった事業に7千億円超の関連交付金を配分した。事業にはハードからソフトまで多様な内容が盛り込まれているが、どこまで人口増や産業創出に結び付いているかは不明確だ。

 もともと、地方創生は各省庁にまたがる事業が多いことから、当初から「政策の寄せ集め」とやゆされてきた。政府は6月、20年度からの次期5カ年計画の策定に着手することを決めたが、これまでの政策に何が足りず、何が課題かを明らかにすべきだ。計画改定という節目に当たって、まずは自治体の現状を含め、これまでの政策や取り組みを十分検証することが欠かせない。

 14年当時、自民党内で地方創生が浮上した背景には、翌年の統一地方選対策も見え隠れした。しかし、数値目標や政策を並べ、上滑りの議論をしていても実効性は期待できない。自治体側は若者の定着を切望しており、地場産業育成や起業支援といった取り組みの拡充が求められる。

 現在の地方創生の担当大臣は、第4次安倍改造内閣で唯一の女性として入閣した片山さつき氏だ。先日来熊した際は、地方の人口減について「若者、特に女性が成人後の生活拠点に地方を選ばないことが数字で表れている。若者が地元で就職できる環境づくりが課題だ」と述べていた。

 具体的対応としては、国家戦略特区で、人工知能(AI)やビッグデータなどの最先端技術を集めた都市をつくる「スーパーシティ構想」に取り組む考えなどを示した。しかし、片山氏に関しては国会で連日、国税庁への口利き疑惑や政治資金収支報告の訂正などが取り上げられている。この体たらくで、国の難題に腰を据えて取り組めるのだろうか。

 このまま過度な人口偏重や少子高齢化を放置すれば、国力が低下し、社会の維持そのものが危ぶまれる。地方活性化は、地に足をつけた視点と息の長い取り組みが不可欠だ。問われているのは、安倍政権の覚悟と本気度である。