文科省局長逮捕 なぜ不祥事が相次ぐのか

7月6日 09:24

 文部科学省の私立大支援事業で東京医科大が対象校に指定されるよう便宜を図り、見返りに自分の子どもを合格させてもらった受託収賄の疑いで、文科省の現職局長が東京地検に逮捕された。

 事実ならば入試をつかさどる省の中枢が裏口入学に手を染めていたことになり、事業の選定プロセスにも疑念を招く。昨年の組織的な天下りあっせんで明らかになった、文科省と私大の癒着の構図が再び浮かび上がった。教育行政へのさらなる信頼失墜は必至だ。

 逮捕されたのは同省の科学技術・学術政策局長だった佐野太容疑者。官房長時代の2017年5月、医科大関係者から支援事業の対象校に選んでほしいと依頼を受け、謝礼として今年2月の入学試験で子どもの点数を加算させ、合格させてもらったとされる。

 現金の授受はなかったが、東京地検は合格者の地位を与えたことが賄賂に当たると判断した。大学側では臼井正彦理事長らが直接関わったとみられている。

 佐野容疑者は文科省同期の中では「エース中のエース」と目されていた。会計課長や大臣官房審議官などの要職を務め、「着々と出世の道を進んでいた」という。

 文科省は各大学に対し、合格発表前の受験生との接触を慎むよう求めるなど入試の不正防止を要求してきた。そのさなか、幹部がこっそり不正の恩恵を受けていたとすれば受験生や学校に説明はつくまい。良心は痛まなかったのか。

 事件の舞台となったのは経営改革に取り組む大学を支援する「特別補助」の一つ、「私立大学研究ブランディング事業」だ。少子化で経営環境が厳しさを増す中、私立大は国の支援事業獲得にしのぎを削っているという。

 東京医科大は16年度、同事業に応募し落選。17年度もほぼ同じ事業計画で応募したが、今度は応募188校の中から対象の60校に選ばれ、1年分の助成金として3500万円の交付を受けている。その選定に当時官房長だった佐野容疑者の意向が働いていたとすれば、大学同士の競争を促してきた文科省の言葉は説得力を欠くことになろう。

 文科省では昨年1月、人事課職員やOBが関与した組織的な天下りあっせんが発覚。最終的に62件の国家公務員法違反が確認され、文科省は当時の前川喜平事務次官ら歴代次官3人を含む累計43人を処分した。佐野容疑者自身も官房長として文書厳重注意の処分を受けている。大学側から便宜の依頼を受けたのはそのころだ。

 さらには、加計学園による国家戦略特区制度を活用した獣医学部新設を巡り、学園理事長が安倍晋三首相の長年の友人であることから「加計ありき」で進んだのではとの疑惑が報じられた時期とも重なる。文科省官僚として失格、モラル欠如だと言わざるを得ない。

 なぜ不祥事が相次ぐのか。癒着の背景に構造的な問題はないのか。徹底的な解明が不可欠だ。それなくして文科省への信頼回復はあり得ない。