就職氷河期世代 早急な行政支援が必要だ

4月27日 09:25

 景気回復が続き、雇用情勢の指標となる有効求人倍率は、高度経済成長期に迫る勢いで伸びている。就職状況でも求職側の学生が優位な「売り手市場」が続く。

 そうした雇用状況の改善にもかかわらず、バブル崩壊後の深刻な就職難を経験した、いわゆる「就職氷河期世代」には、安定した職に就けず派遣労働やフリーターといった社会保険のない不安定な労働者が少なくない。今、この世代が賃金水準や働き方で困難な状況に置かれ、社会問題となりつつあることが分かってきた。

 就職氷河期世代とは、1993年ごろから2005年ごろにかけて厳しい就職状況が続いた時期に学校を卒業した世代を指す。現在、30代半ばから40代後半の年齢層に当たる。08年のリーマン・ショック後の数年間も「第2次就職氷河期」と呼ばれることがある。

 連合総研が、厚生労働省の賃金構造基本統計調査に基づき、10年と15年の毎月の平均給与を年齢層・学歴別に比較したところ、給与額が多くの年齢層で増加している中で、氷河期世代に相当する年齢層では減少していることが分かった。

 中でも15年の大学卒・大学院修了の40~44歳は、10年の同年齢層と比べ、毎月の平均給与が2万3300円も少なかった。氷河期世代では幸福感が上の世代より低いことなども判明。氷河期世代と他世代との間で明確な断絶が生じている。

 この問題が生まれた背景には、90年代から続いた経済の長期低迷とそれに伴う雇用の縮小がある。政府、日銀の拙劣な経済政策のほか、ちょうどこのころから長期雇用や年功型賃金などを柱とする雇用慣行が変化し、非正規雇用が急速に広がった影響も大きいとみられる。問題を「自己責任」として個人に負わせては、本質を見誤ってしまう。

 雇用環境が回復しても、氷河期世代が有利な職を得るのが難しい背景には、各企業が横並びで一斉に新卒者を採用する「新卒一括採用」の弊害も指摘される。最近でこそ転職はそれほど珍しくなくなったが、就職氷河期に新卒一括の正規雇用からはじき出された人たちは「能力の低い人材」と見なされがちで、その後の就職が著しく不利になっているからだ。

 今、氷河期世代の苦境に手を打たなければ、この世代の高齢化の進行により、生活保護受給者の増加やそれに必要な予算の膨張など、社会的・財政的コストの深刻な増大を招く恐れがある。

 氷河期世代には20代のころに十分な能力開発の機会を得られなかったケースも多い。能力開発への支援強化や就労困難者を支援する人材の育成などの手当てを講じる必要がある。また、同一労働同一賃金の実現など、非正規対策全般の拡充も忘れてはなるまい。

 氷河期世代の問題を放置しておくことは社会的な損失ともなりかねない。政府は労働行政の優先課題の一つに位置付け、早急な対策に乗り出すべきだろう。