カジノ入場規制案 まず依存症対策の強化を

2月27日 09:09

 今国会に統合型リゾート施設(IR)実施法案の提出を目指す政府は、施設内カジノへの日本人客の入場規制案を与党に示した。日本人客の入場料を1人2千円とし、入場回数の上限を連続する7日間で3回、連続28日間で10回とするという。

 スロットマシンやルーレット台などを設置するカジノの主要部分の面積は1万5千平方メートルまでで、IR全体の3%以下と定める。政府は与党の了承が得られれば、IR実施法案に盛り込む方針だ。

 政府は2030年に訪日外国人旅行者を6千万人、旅行消費額を15兆円とする目標を掲げる。カジノはその目玉とされるが、日本人のギャンブル依存症対策が大きな課題となっている。

 だが、政府の規制案は他国と比べても十分とは言えまい。シンガポールでは、国民の入場料は約8千円。日本の4倍だが、それでも負けを取り返そうと入場を繰り返す人が後を絶たないという。2千円の入場料でギャンブルの歯止めになるのだろうか。

 シンガポールは入場回数の制限も月8回と、日本より厳しい。月6回以上の利用者に対しては通知を出し、銀行口座などを自己申告させたり、カウンセリングを受けさせたりしている。依存症対策のきめ細かさでは、歴然とした差がある。

 日本のギャンブル依存症の実態は深刻だ。厚生労働省の昨年の調査によると、依存症の経験が疑われる人の割合は2・7%。国勢調査のデータに基づき単純計算すると約280万人になり、アルコール依存症の推計109万人(13年調査)と比べてもその多さが際立つ。一般からの意見公募でも不安の声が数多く寄せられており、カジノ解禁でギャンブル依存症がさらに増える恐れもある。

 政府の規制案に対し、公明党内には「入場料をもっと高くすべきだ」「週3回ならば日常生活に影響が出ないという根拠は」などと効果を疑問視する意見がある。一方、自民党では「制限が厳しすぎる」「入場料は不要」との声もあるという。

 そもそもギャンブル依存症対策で重視すべきは何なのか。入場回数が限られる反動で、「投入する1日当たりの軍資金が増える」と指摘する専門家もいる。政府は入場料や「週3回」の根拠をはっきり示すべきだ。

 ギャンブル依存症は、多重債務や犯罪などにも密接に関連する重大な社会問題だ。与党はIR実施法案とは別に、依存症対策を強化する法案を既に国会に提出している。同様の趣旨の法案は野党も出しており、国会は、まず依存症対策の審議を優先させるべきだ。

 IRは本来、国際会議や国際展示などのコンベンション施設を核に、飲食や娯楽の施設が配置されるのがあるべき姿だ。外国人観光客を増やしたいばかりにカジノ解禁を急ぎ、ギャンブル依存症対策や他のコンベンション施設に関する議論をなおざりにすることは許されない。