成人年齢の民法改正 見切り発車は避けるべきだ

1月17日 09:17

 政府は22日に召集する通常国会で、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるための民法と関連法の改正を目指す。改正されれば、明治以来続く「20歳から大人」という定義が変わる。

 提出予定の法案は、結婚できる年齢の男女統一や、飲酒、喫煙の20歳未満禁止維持など、時代の変化や社会情勢を反映させた内容となっているが、国民の意見が分かれそうな案もある。慎重な国会審議が求められそうだ。

 改正は25の法律に及ぶ。法相の諮問機関・法制審議会が2009年に成人年齢引き下げについて「適当」と答申して以来、消費者被害の拡大を防ぐための法整備が大きな焦点となり、14年から内閣府消費者委員会の専門調査会で検討が重ねられた。

 法改正により、これまで「未成年者」だった18、19歳が親の同意を得なくてもローンを組んだり、商品を購入したりする契約を結べるようになる。未成年者が親の同意なく契約を結んでも後で取り消せるが、成人になると、それができなくなる。悪質業者の標的になることを懸念する声は根強い。

 法制審の部会でも「悪質業者が20歳の誕生日の翌日を狙って取引を持ち掛ける事例が多く、20歳になると被害相談件数が急増する」「若年者が多重債務者となる危険がある」などの意見が相次いだ。

 このため、専門調査会は恋愛感情につけ込む「デート商法」や、就職への不安をあおって有料セミナーを受けさせる「就職セミナー商法」などによる契約の取り消しを可能にする規定を、消費者契約法に追加するのが適当との報告書を昨年8月にまとめた。

 議論の過程では、若年成人の知識、経験不足などに乗じて結ばせた不必要な契約も取り消せるようにする規定の追加も提案されたが、業者側の強い反対などで「今後の検討課題」にとどまった。消費者の需要や資力に見合った商品、サービスかどうかに業者が配慮するよう努める義務の導入なども先送りになったままだ。

 女性が結婚できる年齢は現行の16歳以上から男性と同じ18歳以上にする。飲酒・喫煙や公営ギャンブルについては、健康被害への懸念や非行防止の観点から、法律名や条文の「未成年者」を外し、20歳未満の禁止を維持。性同一性障害の人が家庭裁判所に性別変更を申し立てることができる年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げるなど、見直しは多岐にわたる。

 今回の民法改正手続きは18歳選挙権の流れで当然のごとく進んでいるように見える。より早い段階で若者に責任感を持たせ、社会を担う大人としての自覚を促す効果はあるだろう。だが多くの課題が指摘されており、「18歳成人」の環境が整ったとは言い難い。

 政府は民法改正案などの成立後に少なくとも3年の周知期間を置き、22年施行というスケジュールを立てているが、その前に問題点を冷静に分析し、十分な対策を講じることが欠かせない。見切り発車は避けるべきだ。