ベラルーシ混乱 選挙をやり直すしかない

10月25日 07:11

 ロシアの隣国で同盟国のベラルーシで、大統領選を巡る混乱が続いている。6選を果たしたとされるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は「欧州最後の独裁者」と呼ばれ、圧政で知られる。選挙を前に有力候補らを拘束、選管当局も影響下に置いた。多くの国民が反発するのも当然だろう。

 選挙は不正だとして抗議デモを繰り返す反政権派に対し、大統領は治安部隊を投入し排除、拘束。多くが当局から暴力を受け、死者も出ている。ここに来て反政権派は大統領に対し、25日までの退陣を要求。応じなければ全国規模のストライキに突入すると「最後通告」を突きつけた。全面対決も危ぶまれる緊迫した事態だ。

 大統領選の投票が行われたのは8月9日。当初、有力対抗馬と目されたのは元銀行頭取と元外交官の男性2人だった。しかし、中央選管は2人の立候補を却下。このため、反政府活動家で拘束下にある夫に代わり、妻スベトラーナ・チハノフスカヤ氏が出馬。却下された2人の陣営が支援に回った。

 独裁者に政治経験のない主婦が挑む異例の選挙戦。しかし、「半年以内に公正な再選挙実施」を掲げたチハノフスカヤ氏の支持は急拡大し、反政府運動の象徴的存在になった。支援集会には数万人が集まる盛況ぶり。国民の不満が一気に噴き出したのは間違いない。

 ところが、選挙結果について中央選管は、ルカシェンコ氏の得票率が80・10%だったと発表。反政権派の受け皿となったチハノフスカヤ氏は2位で10・12%だったとした。同氏は異議を申し立て、投票日夜から抗議デモが起きた。

 国内外で選挙結果は捏造[ねつぞう]だとする批判が止まらない中、地元メディアが不正の一端を暴露した。北東部の学校の投票所で、地元当局者が選管職員に対し、ルカシェンコ氏とチハノフスカヤ氏の票数を入れ替えて最終結果とするよう指示する場面の録音が流出。選管責任者を務めた校長も「指示された」と不正を認めた。独裁ぶりがうかがえる行為である。

 毎週繰り返される抗議デモでは多くの参加者が拘束された。女性中心のデモでは当初、治安当局が拘束を抑制していたが、最近はちゅうちょしない傾向に。拘束者への拷問や虐待も横行。決して許されない行為だ。

 欧州連合(EU)はルカシェンコ氏を正当な大統領として認めておらず再選挙実施を要求。今月に入り当局関係者に制裁を科した。これに対し、ロシアのプーチン大統領はルカシェンコ氏を支持。EUとロシアの対立が懸念材料だ。

 選挙後、隣国リトアニアに強制出国させられたチハノフスカヤ氏は、大統領が退陣しなければゼネストに突入すると警告したが、辞任の可能性は低い。一方、大統領側が反政権派の弾圧を続けたとしても、変革を求める国民を完全に抑え込むのは不可能だろう。

 ルカシェンコ大統領は国民の声に耳を傾け、選挙をやり直すしか道はない。日本をはじめ国際社会は対話を促す行動を取るべきだ。