沖縄県民投票1年 立ち止まり再考すべきだ

2月24日 09:39

 沖縄県民がはっきり「ノー」と言っているのに、国はそれに従おうとしない。これが民主主義国家のあるべき姿なのか。強い疑念を抱かざるを得ない。

 名護市辺野古沿岸部の埋め立てへの賛否を問うた沖縄の県民投票から24日で1年になる。県民投票では、7割超の人たちが米軍普天間飛行場移設のための辺野古埋め立てに反対した。それでも、政府は日米安全保障の重要性をたてに従来方針を変えなかった。普天間周辺の負担軽減には「辺野古移設が唯一の解決策」として譲らず、埋め立て工事を続行している。

 市民を真っ二つに

 沖縄県の玉城デニー知事は「民主主義、地方自治が脅かされている」と述べたが、県民にとってはまさにその通りだろう。安倍晋三首相はかねて「県民の気持ちに寄り添う」としてきたが、その言葉がうつろに聞こえる。

 「沖縄県民」とひとくくりに言っても、もちろん意見は一つではない。県民投票の実施によって、普天間を抱える宜野湾市の市民は真っ二つに分断され、しこりを残したとされる。騒音や航空機事故の危険にさらされている普天間近隣の住民と、移設先の辺野古周辺の住民でも立場は違うはずだ。

 同時に、目をそらせないのは、この問題に対する沖縄以外の人たちの関心が深まっていると思えないことだ。辺野古移設を見直すための方法の一つは、普天間飛行場の機能を沖縄県外に移すことである。そうした選択を真剣に考えようという意識が、国民全体にどれほど浸透しているだろうか。

 陳情書に対応なし

 在日米軍専用施設の約70%が集中しているために、沖縄には過度の基地負担がかかっている。現状を広く理解してもらおうと、玉城知事は昨年6月から全国でトークキャラバンを始めた。県民投票の実現に奔走した沖縄の市民団体も昨年3月、国民全体で基地問題を議論してもらうための陳情書を、熊本県議会などを含む全国1790の地方議会に送った。

 しかし、対応を確認できたのは約35議会で全体のわずか2%弱。国民全体から見れば、沖縄県民は少数にすぎない。そんな本土の人たちの関心の薄さが、結果的に、沖縄に対する安倍政権の強硬姿勢を容認していると言えないだろうか。

 辺野古沖の埋め立て予定地には、軟弱地盤が見つかっている。これを受けて政府は昨年末、工事計画の見直し案を公表した。必要な地盤改良のため、海底などに約7万本のくいを打ち込む。総工費は当初の2・7倍の約9300億円に膨らみ、5年だった埋め立て工期も約9年3カ月に伸びた。

 完成したとしても、普天間飛行場の返還は2030年代にずれ込む見込みだ。加えて最近、国の想定よりさらに深い海底に、軟弱地盤があるとする民間業者の調査データも浮上している。疑問のあるデータが出ているのならば、正式なデータを得るために再調査を行うのが当然だろう。

 新たな法廷闘争も

 工事計画の見直しに従い、政府は3月中にも県に設計変更を申請する。玉城知事は承認しない意向で、国と県は新たな法廷闘争に入る可能性がある。そうなれば工期はさらに遅れるだろう。

 政府の固執する移設計画だけが、普天間返還に向けた最善の策とは思えない。普天間に配備されている機体の訓練を、全国の米軍基地に分散すれば、沖縄の駐機数を大幅に減らせる-。沖縄からはそんな提案も出ている。

 沖縄県民に寄り添うべきは政府だけではない。国民の理解が進んでいないとすれば、それも政府の責任だろう。埋め立て予定地への土砂投入はまだ当初計画量の数%しか進んでいない。政府は立ち止まり、計画を再考すべきである。