首相の国会答弁 果たされてない説明責任

11月9日 08:08

 国会は6日に衆院、8日に参院で予算委員会の集中審議を開いた。相次いだ2閣僚の辞任などについて、安倍晋三首相が説明責任を尽くすかと思われたが、そうはならなかった。首相の説明はきわめて不十分で、国会軽視と言われても仕方あるまい。

 6日の集中審議は、2閣僚の辞任後、任命権者の安倍首相が初めて国会に説明する機会だった。首相は「適材適所の観点から任命したが、こうした結果になり国民におわび申し上げたい」と謝罪。しかし、具体的な責任の取り方については「行政を前に進めていくことに全力を尽くし、国民への責任を果たしていく」と述べただけだった。

 菅原一秀前経済産業相の辞任理由となったのは、選挙区内の有権者に香典を渡したなどとする疑惑だった。河井克行前法相も、有権者に贈答品を贈ったとされ、7月の参院選で当選した妻の運動員に法定上限を超える日当が支払われた疑いも持たれていた。ともに厳正に捜査されるべき事案で、公選法違反ならば閣僚だけでなく議員辞職に値する事態だ。

 2氏とも国会で予定されていた質疑を前に辞表を提出、疑惑について公に説明をしていない。このため野党は両氏を予算委員会で参考人招致することを要求。辞任後でも本人たちに疑惑の説明を求めるのは当然だろうが、与党側は「前例がない」と応じなかった。

 それなのに首相は衆院予算委の質疑で「内閣、与党、野党にかかわらず、一人一人の政治家が、自ら襟を正し説明責任を果たすべきだ」と答弁。野党を含める一般論にすり替え、説明要求をかわそうとした。

 首相は自民党の総裁でもある。2氏に進退のけじめをつけさせるのは党最高責任者としての責務ではないか。本人たちの国会招致に応じないでおきながら、代わりの説明もせずに「本人がすべきものだ」と言うのでは、責任から逃げ回っているのと同じである。

 第2次安倍政権での閣僚辞任は10人に上る。そのほとんどがカネや失言が絡むものだった。首相はそのたびに「任命責任は私にある」と繰り返すが、うやむやになっている印象が拭えない。菅原氏の辞任直後の世論調査(共同通信)でも、内閣支持率は54・1%あった。支持率への自信が首相の強気を支えているのかもしれないが、それがおごりや国会審議への不誠実さにつながってはいないか。

 6日の予算委でも首相は自席から質問議員にやじを飛ばし、後になって謝罪した。大学入試への英語民間試験導入をめぐる混乱の責任についても「課題を克服できるよう、しっかりと検討させたい」と答弁。政権の教育改革の目玉として旗を振ってきたにもかかわらず、ひとごとのような姿勢を見せた。

 今月20日には第1次政権からの首相の通算在職日数が歴代最長となる。政権の長期化とともに緊張感をなくしては、国民の信頼を失っていくばかりだろう。